Mixed Culture Sound From East LA |
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- Flor de Huevo
- Los Dos
- Ladrona de Besos
- Europa
- Samba Pa Ti
- Volver Volver
- Sabor a Mi
- Rayito de Luna
- Mi Ultimo Fracaso
- La Bikina
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■ はじめに
近年、米国においてヒスパニック系の人口増加に伴い、行政・経済等、各方面で様々な事業計画が展開されています。
音楽業界でも「サンタナ」のグラミー受賞を皮切りに、ラテンミュージックと新素材を融合したニュー・ジェネレイション的な音楽が好セールスを記録しております。
さらには、日本国内でもラテン文化への理解 (スペイン語学学校開設、メキシカン・レストランの流行、マリアッチ・バンドのトレンディー・ドラマ出演等)
が高まりつ つある現在、その先駆けになる音楽が作り出せたら. . . . 、との思いで、このアルバムを制作しました。
仲村哲也、初のソロアルバムです。
■ 音楽形態
- メキシカン・ミュージックと10穴ハーモニカの融合 -
メキシカン・ミュージックと言っても多種多様ですが、本作ではソン・ハローチョ
(ヴェラクルース・サウンド / 下記解説参照) に使用されるメキシコ民族楽器 (ハラーナ、レキント・ハローチョ、ギタロン)
とハーモニカのアンサンブルを基本としたトリオ・ミュージックにラテン・パーカッション (コンガ、マラカス、ティンバレス等)
をフューチャーします。この編成は音楽史上、前例はありません。
さらに仲村自身のスペイン語ヴォーカルとゲスト・ヴォーカルをフューチャーします。電子楽器を一切使用しないアコースティックサウンドです。
■ メンバー紹介
TETSUYA NAKAMURA
ハーモニカ/ ヴォーカル / ハラナ
LORENZO MARTINEZ
ギタロン / ヴォーカル
STEVE LUEVANO Jr.
レキント・ハローチョ / ギターラ / レキント・ロマンティコ / ヴォーカル
- ゲスト・ミュージシャン -
MARCOS J REYES (現WAR/パーカッショニスト)
コンガ / ボンゴ / パーカッション
SAL RODRIGUEZ (現WAR/ドラマー、デュークエリントンバンド/ラテン・パーカッショニスト)
ティンバレス/ ヴォイスエフェクト / パーカッション
■ 収録曲目
1. Flor De Huevo / フロオル・デ・ウエボ
ソン・ロコス (sonLocos) と呼ばれる中南米のトラディショナル曲にハーモニカをフューチャーした全く新しいタイプのハローチョ音楽です。
2. Los Dos / ロス・ドス
ロマンティック・ラテン・トリオ音楽のスタンダード曲ですが、ソン・ハローチョ的編曲で仲村自身のスペイン語ツイン・ヴォーカルをフューチャーしました。
3. Ladrona de Besos / ラドロナ・デ・ベソス
1950年代初期にヒットしたトリオ・ロス・パンチョスのナムバーで、仲村のスペイン語ツイン・ヴォーカルをフューチャーしたボレーロ曲です。
4. Europa / ヨーロッパ
1970年代、「哀愁のヨーロッパ」の邦題で国内でも大ヒットしたカルロス・サンタナのインスト・ナムバーです。主旋律をハーモニカで演奏しています。
5. Sanba Pa Ti / サンバ・パティ
同年代にヒットした同アーティストのインスト・ナムバーで、主旋律をハーモニカで演奏しています。
6. Volver Volver / ヴォルベル・ヴォルベル
メキシコの国民的歌手「ヴィセンテ・フェルナンドス」のヴァージョンで有名なメキシカン・トラディショナル・フォークソングで、ネイティブなスペイン語ヴォーカルをフューチャーしました。
7. Sabor a Mi / サボール・ア・ミ
ロマンティック・ラテン・ソングのスタンダード・ナムバーで、数多くのアーティストがカバ ーしている名曲です。仲村のソロ・ヴォーカルとハーモニカ・ソロ、レキント・ギター・ソロをフューチャーしました。
8. Rayito de Luna / ラギート・デ・ルナ
近年、「ロス・トリ・オウ」でもカバーされたラテン・スタンダード・ナムバーですが、まったく違ったアプローチで編曲し、テックス・メックス的アコーディオン・サウンドをハーモニカで再現しています。
9. Mi Ultimo Fracaso / ミ・ウルティモ・フラカソ
「トリオ・ロス・パンチョス」のボレーロ・ナムバーで、レキント・ロマンティコ・ソロを全面にフューチャーしました。
10. La Bikina / ラ・ビキーナ
古くから知られているラテン音楽のスタンダード・ナムバーで、レキント・ロマンティコとハーモニカで主旋律を演奏したインスト曲です。
■ 解説 ソン・ハローチョ / Son Jarocho (ヴェラクルース・サウンド)
メキシコの熱帯地域に住む人々は「ハローチョ」と呼ばれています。
メキシコ湾岸のヴェラクルース港 / カテマコ湖周辺の熱帯地域はトロピカル・フルーツなどの自然の恵みが豊かな地域で、この地方に住む人々は「ハローチョ」と呼ばれています。ヴェラクルースはスペイン人が入って来る際の入口となった歴史的な町であり、ハローチョはメキシコの中でも最もスペイン化された人々です。
スペインの影響は音楽に一番顕著に現れており、楽器・言葉の使い方、リズム、旋律、詩、歌などは16世紀から18世紀にかけてのスペイン植民地時代に取り入れられた要素を基盤としています。ハローチョ音楽はメキシコ音楽の中では、より明るく、楽しいものと言えます。演奏者や歌手はいつ何時でも人を引きつける音楽にしようとしており、聴衆と共に楽しい一時を過ごそうとしているからです。このために、ハラーナ、レキント・ハローチョ、アルパで演奏し、ハローチョ音楽の美しい旋律をいきいきとさせます。
最も有名なソン・ハローチョの曲はロス・ロボスやリッチー・バレンスがカバーした「ラ・バンバ」です。
■ 本企画で使用される民族楽器の紹介
▲ ハラーナ・ハローチャ (テツヤ・ナカムラ担当)
ハローチョ音楽で一番よく使用される主要楽器です。17世紀にスペインのバロック・ギターをもとにして作られたと推測されています。従来のギターより小さく、5コースに8弦となっています。ハラーナは「ラスゲアード
(かき鳴らし) 」と呼ばれる奏法でコードを演奏し、ハローチョ音楽にリズムとハーモニーを与えます。
▲ レキント・ハローチョ (スティーヴ・ルエバノ Jr. 担当)
この楽器はサイズや形はハラーナに似ていますが4弦しかなく、バッファローの角から削りだした特殊なピックで演奏されます。ハローチョ音楽のメロディーを奏でるソロ楽器です。
▲ レキント・ロマンティコ (スティーヴ・ルエバノ Jr. 担当)
5度上 (レキントの意) から始まるショート・スケール・ナイロン6弦ギターです。従来のナイロン6弦ギターより、高音域で演奏できるので、トラディショナルなギター・トリオではソロ楽器として用いられます。日本では鶴岡雅義さんが有名。
▲ ギタロン (ロレンゾ・マルティーネス担当)
主に他のメキシカン音楽 (マリアッチ、ランチェラ等) で使用されるアコースティック・ベースです。抱えきれないほどの大きなボディーにフレットレスの短いネックに6弦となっており、従来のベースサウンドより低い音域もカバーします。
▲ ギターラ (スティーヴ・ルエバノ Jr. 担当)
従来のクラッシック・ギターと同様のナイロン6弦ですが、楽器製作工程においてフラメンコ仕様になっている最も一般的なギターです。
■ 最後に
メキシカン・ミュージックに魅了され、楽器集めから始めたこのプロジェクト。ヒスパニック・サブカルチャー支持者
(ローライダー関係者、チカーノ・ファッション関係者等)、 ハーモニカ音楽ファン、アコーディオン音楽ファン、PC音源やサンプリング
/ 打ち込み音源に疲れた音楽ファン、ルーツミュージック研究家とその支持者、国内高度成長期における第一次ラテン歌謡ブーム (トリオロスパンチョス、国内では鶴岡雅義と東京ロマンチカ、ロスインディオス等)
の支持者を始め、多くの人に聴いていただければと思います。
■ 歌詞
Los Dos / 二人で
付いて行く この世の果てまで
付いて行く この深い愛で
君だけにこの心をあげる 僕の愛情、僕の信頼を
そしてこの世の何も、そして誰もあなたを忘れさせる事は出来ない
僕はあげる 僕の命のこの熱望を
そして君はそのかがり火となる
二人のための蜂蜜の月 あなたはいつも僕の愛
そして夢の中で二人生きよう 二人で 二人で
Ladorona de Besos / キス泥棒
キス泥棒 僕の人生で君は. . . .
そのキスで 僕のものになった
わがままな女 優しい瞳の. . . .
美味な唇 そして明日はもうくれない
盗んだんだね 僕の初めてのキスを
僕の魂 僕の人生 にせの幻覚を見せて. . . .
そして僕から去ってしまうんだね 他の唇を求めて. . . .
キス泥棒 愛泥棒
Rayito de Luna / 優しい月あかり
寝静まった森林の中の、優しい月の光のように
君の瞳の光は 僕の貧しい人生を照らしていた
君は小道に光をともした 僕の不運な夜に. . . .
僕の空を照らして 優しく鮮明な月の光のように
優しい月の光 僕の道を照らす
君の愛は僕の人生で、そのようなものなのだ
僕の運命の真実. . . .
君は光をともした 僕の不運な夜に
僕の空を照らして 優しく鮮明な月の光のように
Mi Ultimo Fracaso / 僕の最後の失敗
僕の宿命だ このように生きるのは. . . .
悲しみもだえる生き様、君なしでは. . . .
この世で自分を失ってしまっている
そして僕の最後の失敗は君への愛となるだろう
君が僕の近くに、もうニ度と戻ってきたくないのは知っている
もう僕の生き様なんて関係ないと. . . .
もう僕のことなんか気にしてないと. . . .
もし僕が死んだとしても、君は僕の気持ちなど知り得ないだろう
僕は君から遠く離れ生きる苦しみに泣いている
君が僕の最後の失敗になるだろう. . . .
もう他の誰かを好きなることはできない. . . . でも. . . .
もう許せる. . . . 僕の心を幸せにしてくれたのだから. . . .
そして. . . . 君の温かさをもう与えてくれなくても、君のものだよ、僕の愛は. . . .
Sabor a Mi / 僕の味
こんなに長い間楽しんだ愛. . . .
僕達の魂はこんなにも近付き. . . .
僕は君の味を保っている. . . .
君もまた、僕のを. . . .
もし僕の存在を君の人生から否定したら、ただ抱きしめよう. . . .
そして話そう. . . . こんなにも僕の命を捧げたのだから. . . .
だから、君は必然的に僕の味を保ち続けるだろう. . . .
君の私有者になるつもりはないよ
僕は何者でもない. . . . 虚栄心もない. . . .
僕の人生の最良なものをあげる. . . .こんなに貧しいのだから. . . .
他に何をあげられるだろう. . . .
千年以上経っても、そしてそれ以上経っても、永遠に愛が存在するのかわからない. . . .
でも、あっちでも、こっち同様、君の口には残る. . . .
僕の味、僕の味. . . .
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