Sunnyland Slim

田舎のジョーは伊達男、の巻


Chicago Blues Festival 1994
Copyright(C) by Hiroshi Takahashi


1938年 ムーディー・ジョーンズ、ジョニー・ウイリアムス
1940年 ジョニー・ヤング
1941年 エディ・ボイド、ジミー・ロジャース、ジョニー・シャインズ
1943年 マディ・ウォーターズ、ビッグ・ボーイ・スパイアーズ、サニーランド・スリム
1944年 リロイ・フォスター
1945年 ジョン・ブリム、フロイド・ジョーンズ、スヌーキー・プライヤー
1946年 ヘンリー・グレイ、リトル・ウォルター

上記の表は、後にシカゴ・ブルースと呼ばれるスタイルを開拓したパイオニアとも言えるブルースマンがシカゴに移住した年をまとめたものである。こうして見ると第二次世界大戦を前後して続々とデルタ地帯からダウンホーム・ブルースマンが集結していたのがよく分かる。
歴史的に見ても、1940年代というのはシカゴの黒人人口が爆発的に増加した時期でもある(最初の大増加は第一次世界大戦前後)。軍需産業や精肉業は慢性的な人手不足で働き口はいくらでもあった。それに加え、シカゴからは黒人向け新聞の「シカゴ・ディフェンダー」が人種差別撤廃のメッセージを南部諸州に発信していたし、当時唯一の黒人連邦議員であるウィリアム・ドーソンや世界ヘヴィー級チャンピオンのジョー・ルイスが住むサウス・サイドは、コットン・フィールドで不安定で差別の蔓延する生活を送っていた黒人たちから見れば、まるで天国のように見えたに違いない。
当時シカゴで流行していたブルースは、ブルーバード・ビートといわれるスウィンギーで都会的なブルースと、それに続いてブームが訪れたジャンプ・ブルースであった。しかしこれらのサウンドはデルタの伝統を削り取り、ざらついた感触を全く感じさせない洗練されたサウンドであった。

そんな時代にシカゴに移住してきたブルースマン達は主にマックスウェル・ストリートを根城にし、ミシシッピー・デルタ・ブルースをエレクトリック化した「古くて新しい」ブルースを試行錯誤しながら完成させようとしていた。
シカゴ・ブルースの最初のレコードはオラ・ネール・レコードの2枚のSP盤(オッサム・ブラウン/リトル・ウォルター、ジョニー・ヤング/ジョニー・ウイリアムス)であるが、一般にはマディ・ウォーターズの"I Can't Be Satisfied"の大ヒットがシカゴ・ブルースの扉を開けたとされている。マディはシカゴに先に来ていた親戚や友人からの「そんな古くさいブルースなんか誰も聴かない」という忠告を無視して、ビッグ・クロフォードのベースだけをバックにアンプリファイドしたスライドギターを弾き「オレは満足してないぜ!」と歌ったのである。それに対し南部から集まってきた黒人達が、辛い労働や「夢の街シカゴ」でも相変わらず存在する黒人差別を慰めるために、「故郷のブルース」に熱狂したのは当然のことと言えるであろう。
そしてこのマディをアリストクラット(チェスの前身)に紹介したのが、シカゴブルース黎明期の重要人物であり、以降40年以上に渡り多大な功績を残したピアニスト、サニーランド・スリムなのである。


サニーランド・スリム、本名アルバート・ルアンドルーは、1907年9月5日にミシッシッピー州ヴァンスに生まれた。一家で教会に通う家に生まれたため、サニーランド少年はブルースと出会うチャンスはなかったという。しかし教会に置いてあった足踏み式オルガンに興味を持った彼は鍵盤楽器に憧れ、叔父や従兄弟に教えを請いながらそのテクニックをマスターをしていったという。6歳の頃に母親を亡くした彼は、継母のいじめを嫌い13歳の頃には家出をしたらしい。


Sunnyland (center), his mother and his uncle.
from LP "She Got That Jive" (Airway 3220)

以降様々な仕事を経験しながらピアノの腕を上げた彼は、15歳の時に田舎のジューク・ジョイントでの仕事を獲得することになる。鉄道労働者に水を運ぶ仕事をしているときにブルースと出会った彼は、この頃すでに色々なブルースを聴きながらかなりのプレイヤーになっていたという。また、いかさまカード師としての腕も上げ、ジューク・ジョイントを転々としながら詐欺師兼ピアノ・プレイヤーとして生計を立てていたという。

そんな流浪の生活を続けていたサニーランドが、リトル・ブラザー・モントゴメリーに出会ったのはミシッシッピー南部の森林地帯(後述する)の製材所でのことであった。たまたまサニーランドを乗せた車が故障し近くの労働キャンプに立ち寄った。そこでプレーをしていたのがモントゴメリーでったのだ。意気投合した二人はコンビを組んで一晩中演奏を続けたという。モントゴメリー17歳。サニーランド16歳のことであった。ここでサニーランドはモントゴメリーから多くのアイディアを学んだと言うが、向上心の強い彼は出会ったピアニスト全てから様々なテクニックを学んでいったという。

バレルハウスでの連日連夜の演奏を続けていたサニーランドは、1927年にメンフィスへと向かう。1920年代から30年代のメンフィスは、サニーランドの様ないかさま賭博師兼ピアニストには天国のような街であった。ビール・ストリートには無数のクラブや賭博小屋があり、有り余るほどの仕事が転がっていたのである。このメンフィスで彼は多くのブルースマンと知り合うことになる。マ・レイニー楽団との旅公演を行ったり、リトル・バディ・ドイル、ビッグ・ウォルター・ホートン、ルーズベルト・サイクス、ハニーボーイ・エドワーズ、2人のサニー・ボーイにリトル・ウォルターなどとも一緒に演奏をしている。また、メンフィス・スリムともこの街で知り合い、彼から多くのコードを教えてもらったそうだ。シカゴに顔を出したり、セントルイスやアーカンソー州に移り住んだこともあったが、彼はこのメンフィスを拠点に、ミシシッピー川流域で約15年間ものあいだ活動していた。この街で彼の個性的なピアノスタイルが完成されていったのである。

ところで、彼のピアノは本当に個性的である。シカゴ在住のピアニスト土田晴信氏によると「コール・アンド・レスポンスのレスポンスの部分で、鍵盤を叩くような派手なピアノ」を弾き「両手のトレモロを多用し、ストライド奏法は使わない」のが彼の特徴であり「つまりラグタイムからの影響はほとんど感じられず、バレルハウス・ピアノ/ブギウギからの影響が強いと思われる」とのことだが、前述した彼の経歴を見てもそのことは裏付けられているであろう。
わたしには彼のピアノ・スタイルの秘密を解き明かす力はないが、ブギウギ/バレルハウス・ピアノの歴史と辿ってみると、それを解き明かすヒントが隠されているかもしれない。

有名なブルース・ピアノ研究家であり数々の教則本を執筆しているエリック・クロス氏によると、ピアノと黒人音楽との出逢いは19世紀のミンストレル・ショーにまで遡るという。旅芸人による「大衆音楽ショー」であったミンストレルショーでは、よりコマーシャルな音楽を演奏するためにピアノは徐々に重要な楽器となり、その中で「ブルース的な音楽」も演奏されるようになってきた。

その後、1890年代に西洋音楽と黒人の民族音楽がミックスされたラグタイムが発生してきた(とはいえ突然発明されたわけではなく、19世紀中頃から徐々に形作られていったのであろう)。ラグタイムとは簡単に言うと、西洋音楽であるクラシック音楽に黒人の血に流れるシンコペイションを加えたものであった。しかし、多分にクラシックの要素を含んでおり、プレイヤー自身も西洋音楽の教育を受けた者が多く、ブルース・フィーリングとはまだまだかけ離れたものであった。スコット・ジョプリンが1899年に(レコードではなく楽譜で)ヒットさせた「Maple Leaf Rag」あたりから大ブームとなるが、1920年頃までには下火になってしまった。

このラグタイムとは別の流れで、ブギウギ・ピアノというより黒人大衆に密着した音楽が生まれていた。ラグタイムがクラシック寄りの音楽家達の手により洗練されたものであるのに対し、ブギウギはラグタイムからの影響を受けつつも、よりアフリカ的なリズミックで単純なメロディーで構成されるダンス・ミュージックであった。
その起源を辿っていくと、アラバマ州バーミングハムが発祥の地であるという説(1890年代にアラバマ出身のピアノ奏者が8ビートを弾いていたという証言もある)が有力であるが、19世紀の終わりから20世紀の初頭にかけて深南部(ルイジアナ、テキサス東部、アラバマ)の都市や木材伐採所、石油採掘所、鉄道敷設などの労働キャンプにある安酒場(ジューク・ジョイントやバレルハウスと呼ばれる)で演奏され始めていったという。こうした安酒場には必ず安い古びたピアノが置かれていた。では、なぜピアノだったのであろうか。それはギターでは精々数十人程度の観客を相手にする程度の音量しか出せなかったのに対し、ピアノはドンチャン騒ぎをする多数の客を相手にすることが可能な音量が出せたためであるという。こうした場での演奏は高度なテクニックや洗練されたメロディーよりも、より力強く単純なリフを持ったダンスミュージックが好まれた。こうした中で、左手による8ビートを強調したダンス・ミュージックであるブギウギが発生してきたと考えられている。

もちろん「初期の黒人ピアノ・スタイルには、ラグタイムとブギウギがあった」などと縦割り史観でものを見るのは危険なことであるし、そう簡単に括ることは出来るはずがない。ラグタイムのピアノ奏者が、より金になるブギウギ・ピアノを弾くようになっていたと考えるのは自然なことであり、ジューク・ジョイントやバレルハウスでもラグタイムが演奏されていたことであろう。さらに付け加えると、ラグタイムにジャズ的なスウィング感をミックスさせたストライドというスタイルが派生し、ジェームス・P・ジョンソンという巨人を産み出した。そしてそのスタイルはファッツ・ウォーラー、デューク・エリントン、カウント・ベイシーらへと引き継がれていったのであった。

20世紀に入り南部の黒人労働者が爆発的な勢いで北上し、ミシシッピー川沿いの各都市に流入していった。それと共にピアノ奏者も北部の各都市に流れ、都市におけるブギウギのブームが起こった。彼らは賭博場や売春宿、そしてハウス・レント・パーティー(家賃を稼ぐために入場料を取ってアパートの自室でおこなうパーティー)などで黒人達を踊らせ熱狂させ、そして自らの腕前を上達させていった。その中には、録音を残さずに歴史の中に埋もれていったプレイヤーも多数いたことであろう。

ブギウギ・ピアノ奏者の第一世代として、パイントップ・スミス、ジミー・ヤンシー、カウ・カウ・ダヴェンポート、モンタナ・テイラー、クリップル・クラレンス・ロフトン、チャーリー・スパンドなどの名前が挙げられるが、ほとんどが1890年代に生まれた世代である。つまり少なからずラグタイムの影響を受けていると考えるのが自然と思われる。
また、この第一世代に属しながら、ゆっくりとしたベースラインを特徴とし、ピアノ・ソロというよりも歌の伴奏としてのピアノスタイルを確立したグループも生まれた。それがシティ・ブルースの祖といわれ定型化したブルースを作り出したリロイ・カーと彼の影響下にあるピーティー・ウィートストローなどの人達である。ブギウギのような激しいブルースよりもミディアム〜スロー・ブルースで魅力を発揮する彼らのスタイルはその後のピアノ奏者に大きな影響を与えた。

それに続く第二世代には、ブラインド・ジョン・ディヴィス、ブラック・ボブ、ボブ・コール、ジョシュア・オルシマー、ビッグ・メイシオなどの名前が挙げられると思うが、これらの人々は深南部出身ながらスモール・コンボで演奏していたこともありテクニック的により洗練されている。
第二世代のもう一つの流れにブギウギ・トリオとして1930年代後半から人気を博したアルバート・アモンズ、ミード・ルクス・ルイス、ピート・ジョンスンがいる。彼らはそれぞれシカゴ、カンサス・シティといった都市部の出身であるが、深南部から移住してきたピアノ奏者の演奏を聴きブギウギのテクニックを身につけていった。彼らの洗練された「都会的」なブギウギは全米中を巻き込み1940年代のジャンプ・ブルースの流行へと繋がっていくのであった。
第二世代の三つ目の流れとして、同世代のピアノ奏者の洗練されたスタイルに影響されながらも「田舎風」の演奏を続けていたグループがいる。スモール・コンボで演奏しながらもどこか荒削りで、ちょうど第一世代と第二世代の中間のスタイルとでも言えばいいのだろうか。それが、ルーズヴェルト・サイクス、リトル・ブラザー・モントゴメリー、メンフィス・スリム、そしてサニーランド・スリムなどの人達である。ルーズヴェルト・サイクスとリトル・ブラザー・モントゴメリーは録音時期も早かったし、どちらかというとオールド・タイマー的な見方をされることが多い。メンフィス・スリムは40年代のジャンプ・ブルースの影響をモロに受け、マット・マーフィーらと共に素晴らしいレコードを残している。我らがサニーランドはというと、メンフィス周辺に15年近くも留まり、いかさまカード師をやりながらピアノをプレーし続けていた。その間にジャンプ・ブルースなどの影響も受けてはいたと思うが、例えばその後登場する第三世代のジョニー・ジョーンズが、ロイ・ミルトン楽団とそのピアニストであるカミル・ハワードからの影響が顕著なのに比べて、なんとも中途半端な印象は免れない。その辺が彼に対する好みが分かれる要因になっているのではないだろうか。しかしサミュエル・チャーターズの著作に興味深い記述がある。少々長くなるが引用してみたい。

長年にわたるサニーランドのピアノ・スタイルは、基本的にはシカゴ・リズム・ピアノだ。しかし以前からそれとは違ったスタイルを練習しはじめて習得し、いまでは学び取ったスタイルすべてを駆使している。ウォルター・ディヴィスから学び取ったフレーズを1小節に使ったり、1コーラスの半分にデューク・エリントンが左手でおこなうサジェスチョンも取り入れたりしている。そして右手は純粋なシカゴ・スタイルで通す。こうしたことを彼は極力意識的にやっている。例えば、自分の演奏をテープにとり、短い時間だが座って耳を傾け、各部分がどんな効果を発揮しているか考える。そしてまた、全体のコンテクストを概観してみるのだ。しかし彼が意識的にやっている工夫は、全体から見るとほんのわずかなあいだだけだから、ちらりとしか見えない。自分の宝物を友達にちらっと見せてひっこめてしまうのに似ている。したがって音楽にあまり詳しくない人の耳には、力強い見事なシカゴ・ブルース・ピアノとしか聞こえないだろう。長年ピアノを弾きつづけてきたからこそできる芸当だ。
 「5時間もあれば、ありとあらゆるスタイルをミックスすることができるよ」

「ブルースの本」P.208-209
サミュエル・チャーターズ著 晶文社

誰々から影響を受けたというのではなく、ブギウギの第一世代からジャンプ・ブルースまで様々なスタイルからアイディアを貰い、緻密に研究し、豪快に連打する彼のピアノ・プレーは、それ故に個性的なのである。


さて、そんなサニーランドがシカゴに出てきたのは1943年のことである。この時すでに36歳で、他のブルースマンに比べるとかなり遅い部類に入る。実は彼はメンフィスでの生活が性に合いそれに満足していたのだが、レコーディングの機会を求めてしかたなくシカゴに出てきたのだという。
さっそくジョン・リー・サニーボーイ・ウイリアムスンやドクター・クレイトン、タンパ・レッドらと共にクラブの仕事を始める。その後サウスサイドの「フレイム・クラブ」で演奏していたマディ・ウォーターズとブルー・スミッティのバンドにエディ・ボイドの後がまとして加入することになった。サニーランドとマディは南部にいた頃からの知り合いであった。ところがこの仕事は、スミッティが仕事をさぼったため一ヶ月ほどで首になり、次の「コットン・クラブ」での仕事もまたしてもスミッティが原因で一週間でダメになってしまった。結局マディとの仕事は通算でも二ヶ月ほどであったが、その間にリトル・ウォルターやジミー・ロジャースなどもバンドに出入りしており、マディ、ロジャース、ウォルターの黄金のトリオはこの後も活動を共にしていくのであった。

1947年。チェスの前身であるアリストクラットのタレント・スカウトのサミー・ゴールドバーグは、密かにブルースが売れるという予感に衝き動かされていた。それまでジャズのレコードしか発売していなかったアリストクラットであったが、遂にブルースのセッションを行うこと決め、サニーランドに対してセッションの準備を依頼したのであった。そしてこの時サニーランドがギタリストとして推薦したのが、マディ・ウォーターズであったのだ。
この記念すべきセッションでサニーランドはマディとビッグ・クロフォードをバックに"Johnson machine gun"と"Fly right, little girl"を演奏した。まだまだシティ・ブルースを模した作りになっているとはいえ、彼のボーカルはシャウトし個性的なピアノは南部の香りを十分漂わせている。マディのギターはシカゴに出てきてからブルー・スミッティに習ったという単弦奏法に徹しており、まだまだ本領発揮とまではなっていない。
なお、この時マディも"Gypsy woman"と"Little Anna Mae"の2曲録音しているが、こちらも単弦奏法のシティ・ブルースの延長線上に終わっている。

同じ年、サニーランドはドクター・クレイトン亡き後、彼そっくりに歌えるという理由だけで「ドクター・クレイトンズ・バディ」という名前でレコーディングを行っているが単なるシティ・ブルースの焼き直しに終わっている。内容的に特筆すべきものはないが、「Doctor Clayton and his Buddies」(Old Tramp OTCD-05)で本家のドクター・クレイトンと合わせて聴くことが出来るので、そのボーカル・スタイルを比較するのに好都合であろう。ちなみに、B.B.キングも彼の唱方に影響を受けている。なるほどどちらも朗々と歌い上げるタイプであり、B.B.とサニーランドの共通点を見いだすことは簡単だ。

Doctor Clayton and his Buddies
(Old Tramp OTCD-05)

1948年に入り、今度はハイ・トーンにロニー・ジョンスンとアンドリュー・ハリスをバックに6曲録音する。こちらもアリストクラットのセッション同様にシティ風だが、単弦奏法ではやはりマディに比べロニーの方が一枚も二枚も上手だ。ハイ・トーンにはこの他に2曲録音しているが、未LP/CD化のため私は未聴のままだ。

同年、サニーランドとマディは再びアリストクラットのセッションのためにスタジオに集まった。今度は先のメンバーに加えアレックス・アトキンスのアルト・サックスが加わっている。
レコーディングは、まずマディの"Good looking woman"と"Mean Disposition"から行われた。ここでのマディは、またしても単弦奏法に終始し、アルト・サックスが加わりジャンプ風味をかもしだしていること以外は前回のセッションとさほどの変化はない。
続いてサニーランドが2曲録音するが、サックスが全面に出てジャンプする"She ain't nowhere"とスロー・ブルースの"My baby my baby"を演奏した。その後のサニーランドの路線に通じるサウンドである。
計4曲の録音が終わったところで、チェス兄弟のビジネス・パートナーであったイーヴリン・アーロンの勧めで「実験的」に贅肉を取り除いたシンプルな曲を録音させることにした。こうしてビッグ・クロフォードのベースだけをバックにマディのエレクトリック・スライド・ギターが唸る"I Can't be satisfied"と"I feel like going home"が誕生したのであった。そしてこのレコードは初回プレスの三千枚が24時間以内に売れ切れ、最終的には「ジューク・ボックス」と「ベスト・セラー」の両誌でR&Bチャートの11位にまで上がる大ヒットとなったのである。

The Walking Cycloon
(ZIRCON Bleu-516)

一方サニーランドの方は、マディの大成功をよそ目に見て、金銭的な問題でチェス兄弟と喧嘩別れをし、作っては消える弱小レーベルを渡り歩くことになる。
まずはデルタ・ジョー名義でオペラ(チャンス)に2曲録音するが、リロイ・フォスターのギターだけをバックにしたサウンドは、まさに南部のジューク・ジョイントで演奏していた類のダウンホームなサウンドだ。
 また同じく1948年に一般には広く知られていないが「歴史的」なセッションが行われた。これまた長続きしなかったテンポ・トーンのためのセッションで、オーナーのビッグ・アールの依頼でサニーランドが手配したものであった。
そこに呼ばれたのはマディの他にリトル・ウォルター、フロイド・ジョーンズ、リロイ・フォスターという顔ぶれであった。"I Can't be satisfied"の成功を目の当たりにしても、マディらが目指したバンド・サウンドを録音しようとしなかったアリストクラットを出し抜き、シカゴのクラブやマックスウェル・ストリートでは「常識」であったバンド形式の録音が初めて行われたのであった。
まずはリトル・ウォルターのハープとヴォーカルをフューチャーした"Blue baby"と"I want my baby"を録音し、続いてマディとウォルターが抜けてフロイド・ジョーンズの"Hard times"と"School days"が録音された。どちらの録音も「戦後シカゴ・バンド・サウンドの完成」とまでは言えないが、1940年代以降にシカゴにやってきた新しい世代の記録として記憶に留めておきたい作品だ。このテンポ・トーンのセッションは、長い間「Chicago Slickers」(Nighthawk)などのLPでしか聴くことが出来なかったが、1999年にIndigoから「Chicago Blues Hard Times」(Indigo IGOCD 2095)というCDでリイシューされている。このCDは他の物とのダブリも多くあるが、前述したサニーランド&マディのアリストクラット録音を始めとして、1947-48年のシカゴ・ブルース黎明期を俯瞰できる価値あるCDであるということを付け加えておこう。

Chicago Blues Hard Time
(Indigo IGOCD 2095)


49年以降のサニーランドは、ジャンプ〜ジャズよりの路線を強めていく。まずはマーキュリーに対して、ロバート・ロックウッド・ジュニアやオリヴァー・アルコーンのサックスを従え2曲を録音。その後何度も再録された"Everytime I get to drinking"が生まれたセッションだ。
続いてJOBでの未発表セッションを挟み、92年に突如発掘され多くのブルース・ファンを驚喜させたアポロへのセッションで6曲(テイク)を録音する。サム・カシミアのギターがかなりジャズ的なこともあり全体的にシティ風味のセッションとなっている。

House Rent Party
(Delmark 655)

この様な上質の作品を作り上げ、このままこの路線を続けていくと思いきや、翌50年にはサニーというレーベルにスヌーキー・プライヤーとリロイ・フォスターを引き連れ、一転して強烈ダウンホームなブルースを残している。

翌51年3月には、ロバート・ロックウッド・ジュニアとムーディ・ジョーンズをバックに"Down home child"を強力にシャウト。ロックウッドのまさに名人技のギターをバックにダウンホームな内容の歌詞をジャンプ・サウンドで決めている。なお、同日にはメンバーを変えてさらに3曲録音している。
翌月の4月にはリーガルに5曲を録音。サックスとドラムスの参加により、よりモダンなサウンドになっている。それにしても"When I was young (Shake it baby)"のジャンプ・サウンドは極上そのもの!その他にも聴きどころの多いセッションだ。
かと思えば、同年10月のマーキュリーへのセッションでは、再びダウンホームなサウンドへ逆戻り。ロックウッドのギターがモダンな味を出しているが、根底に流れるのはあくまでもダウンホームなブルースだ。"Hit the road again"でのギターとピアノの絡みを始め、ロックウッドとの成熟したコンビネーションを楽しめるセッションでもある。
52年のJOBセッションでは、ギターをリトル・ピート・フランクリンに変えているが、この人もロックウッドに劣らぬギターの名手である。
この辺の録音は、以前Officialから「Devil Is A Busy Man」 (Official 6043)というLPである程度まとめられていたが、ほとんど手付かずのままであった。1995年に「Patriarch Of The Blues」 (OPAL OCD 110)というCDが発売になり1947年のアリストクラットでの初録音から1952年のJOB録音まで網羅されていたが、現在では入手困難のようである。是非ともきちんとしたリイシューを期待したいところだ。

Patriarch Of The Blues
(OPAL OCD 110)

53年のJOBセッションは、ギターにJ.B.レノアー、サックスにJ.T.ブラウンを迎えた異色のセッションである。メンバーは異色ではあるがスウィングしたサウンドにJ.T.のサックスが気持ちよく乗っかる充実した作品集だ。このいずれもが録音当時は発売されなかったとは...。
異色といえば同年2月のブルー・レイク録音も異色のメンバーだ。スヌーキーのハープにエディ・テイラー、フロイド・ジョーンズのギターが加わり一転してダウンホームなサウンドを聴かせる。"Going back to Memphis"はフォーティ・フォー/ローリン・アンド・タンブルの流れを汲んだ南部魂がいっぱいの曲だ。サニーランドの自信にあふれた力強いボーカルとピアノにスヌーキーのハープが被さり、極上のブルースとなっている。


Hand Me Down Blues
(RELIC 7015)

そして54年以降のJOBセッションでは、再びサックスがフューチャーされアーバナイズされたサウンドを聴かせている。
ダウンホームなサウンドとアーバナイズされたジャンプ・サウンド。そのどちらもがサニーランドの持ち味であり、その時代やレーベルの要請に合わせて顔を変えていったのであろう。同世代のブルースマンでこれだけ変幻自在の顔を持つ人はいなかったが、「どちらがサニーランド?」ではなく、「どちらもサニーランド」であり、それが彼の持ち味であったのだ。

そんなサニーランドの集大成が、1956年にコブラに吹き込んだ"It's you baby"と"Highway 61"ではないだろうか。サウンド自体は決してアーバナイズされたものではないが、ウォルター・ホートン、ジミー・ロジャースらを率いて、極めて上質なシカゴ・ブルース・サウンドにサニーランドの激しいボーカルが被さっている。特に後者は「ローリン・アンド・タンブル」スタイルを50年代によみがえらせた傑作であり、典型的なコブラ・サウンドと相俟って聴く者の心を掴んで離さない。
余談になるが、「Sunnyland Slim & J.B. Lenoir The Mojo Boogie」(P-VINE PCD-2164)のライナー・ノートで鈴木啓志氏が「"Highway 61"のシングル・テイクと未発表テイクは、全く別のセッションではないか」と問題提起をされていたが、私も全く同感である。未発表テイクのギターはジミー・ロジャースとは思えないし、全体的なサウンドも全く別物に感じる。普段は別テイクの類を余り気にしない私だが、この曲に限っては全てのテイクを聴いていただきたいと思う。
余談ついでに、この時期の録音はP-VINEが徹底リイシューを予定している(2000年9月現在)ので大いに期待したいと思う。

Sunnyland Slim & J.B. Lenoir
The Mojo Boogie
(P-VINE PCD-2164)

素晴らしいコブラ録音を最後に、しばらくレコーディングの機会を失っていたサニーランドに次のチャンスが訪れたのは1960年のことであった。シティ・ブルースのスターであるジャンプ・ジャクソンが経営するラ・サールに、旧友リトル・ブラザー・モントゴメリーと共に弾き語り(一部ベース・ドラム付き)のブルースを収録したのだ。時代がいきなり1920年代にタイムスリップしたようだが、"Brownskin woman""Devil is a busy man""Everytime I get to drinkin'"などの代表曲をバレルハウス・スタイルで演奏するなどなかなかの聞き物だ。

続いてブルースヴィルにキング・カーティス・バンドとのセッションを行うが、これはちょっとミスマッチ。それに比べて、同じく1960年のアトミック Hへの録音(Chicago Ain't Nothin' But A Blues Band)と、1963年のデルマークへの録音(Blues Piano Orgy)はさすがとしか言い様がない。前者はマット・マーフィー、J.T.ブラウンが付いたジャンプサウンド、後者はホームシック・ジェームスのみをバックに従えた弾き語りに近いスタイルだ。

1964年は、スウェーデン放送局への録音(I Blueskvater vol.1)や、バディ・ガイらをバックにしたデッカへの録音(Blues-Southside Chicago)、そして10月には「アメリカン・フォーク・ブルース・フェスティヴァル」の一員として渡欧し、ストーリーヴィルへの弾き語りや何曲かのライブ録音を行う。

4年後の1968年にもまとまった録音があり、6月にはブルーホライゾンに対し、ウォルター・ホートン、ジョニー・シャインズ、ウイリー・ディクスン、クリフトン・ジェイムスをバックにアルバムを録音するが、全体的に元気がなくいま一歩というところか。それに比べて10月に行われたワールド・パシフィックの方は、ジョージ・スミスやルーサー・アリスンらが健闘しなかなかのものである。

とは言え、1960年代に入ってからの録音は、それ以前の珠玉の録音集には敵うべくもない。むしろ1970年代に入ってからのビー・アンド・ベイビーへの録音(「Bea & Baby Records Presents : The Best Of Chicago Blues Vol.1-3」(Wolf120.293/294/295)で聴ける)や「Sad And Lonesome」(Jewel CD 5010)、エイシズとスヌーキー・プライヤーをバックに従えた「Plays Ragtime Blues」(Bluesway LP BLS 6068)、そして自己レーベルであるエアウェイでの作品集(「She Got A Thing Goin' On」(EARWIG CD 4942)などで聴ける)の方が十分聴き応えがあると思う。これらの70年代以降の作品も紹介したいのだが、あまりにも録音数が多いのでいずれ改めて紹介したいと思う。

1979年にはハニーボーイ・エドワーズと共に日本の土を踏み、三週間のうちに14カ所もの場所でライブを行った。72歳のことであったが「今なおピーク」と思わせるステージだったそうである。
バックステージでも当時同棲していた(!!)ビッグ・タイム・サラのことを恋しがり「今頃は他の男と...」というハニーボーイの冷やかしに本気で狼狽していたという話はいまでも語りぐさとなっている。

スタートラインはマディと一緒だったが、その後は生まれては消えていく弱小レーベルを渡り歩いたサニーランド。その為に、名前の割にはヴィンテージ期のまとまったディスク化が遅れ、正当な評価を受けていないブルースマンの筆頭格になるだろう。セッション・マンとしての彼の活躍も素晴らしく、誰が数えたか知らないが、ブルース・ディスコグラフィーの「Blues Records」には225箇所に彼の名前が載っていたそうである。

私が最後に彼の姿を見たのは1994年のシカゴ・ブルース・フェスティヴァルでのこと。バックステージのベンチにちょこんと座り、遠くを見つめていたのが印象的だった。
その9ヶ月後、彼は87歳の生涯を終えた。そのブルースは波瀾万丈な人生と共に最後までリアルであり続けたのであった。

追記:

2001年から、Classicsでサニーランドの録音順にCD化するというとんでもないシリーズが始まった。今までLP/CD化されていなかった曲も年代順に並んでいる。
今のところ、2枚(1951年まで)が発売されているが、今後に期待しよう。

The Chronological Sunnyland Slim
1947-1948
(Classics 5013)

The Chronological Sunnyland Slim
1949-1951
(Classics 5035)

 
Chicago Blues Festival 1994
Copyright(C) by Hiroshi Takahashi


Sunnyland Slim Discography

Sunnyland Slim & Muddy Water
v/p with Muddy water,g; Big Crawford,b; unk d. Chicago, 1947
1.Johnson machine gun [Aristocrat 1301] (A)(B)(C)(Y)(@)
2.Fly right, little girl [Aristocrat 1301] (A)(B)(C)(Y)(@)

Doctor Clayton's Buddy
v with Blind John Davis,p; Big Bill Broonzy,g; Ransom Knowling,b; Judge Riley,d. Chicago, 10 Dec 1947
3.Farewell little girl [Victor 20-3235] (D)(Y)(@)
4.Broke and hungry [Victor 20-3085] (D)(Y)(@)
5.Illinois Central [Victor 20-2733] (D)(Y)(@)
6.Nappy head woman [Victor 20-2954] (D)(Y)(@)

Same. Chicago, 31 Dec 1947
7.Across the hall blues [Victor 20-3085] (D)(Y)(@)
8.Walking with the blues [Victor 20-3235] (D)(Y)(@)
9.Sweet Lucy blues [Victor 20-2733] (D)(Y)(@)
10.No whiskey blues [Victor 20-2954] (D)(Y)(@)

Sunnyland Slim & His Sunny Boys
v/p with Lonnie Johnson,g; Andrew Harris,b. Chicago, 1948
11.Jivin' boogie [Hytone 32] (E)(Y)(@)
12.Brown skin woman [Hytone 32] (E)(Y)(@)
13.My heavy load [Hytone 33,34] (B)(E)(Y)(@)
14.Keep your hands out of my money [Hytone 33,34] (B)(E)(Y)(@)
15.Miss Bessie Mae [Hytone 33]
16.The Devil is a busy man [Hytone 33]

v/p with unk ts; g; b.
17.5 foot 4 gal [Hytone 37] (@)
18.I've done you wrong [Hytone 37] (@)

Sunnyland Slim & Muddy Waters' Combo
v/p with Alex Atkins,as; Muddy Waters,g; Big Crawford,b. Chicago, Apr 1948
19.She ain't nowhere [Aristocrat 1304] (A)(B)(C)(Y)(@)
20.My baby my baby [Aristocrat 1304] (A)(B)(C)(Y)(@)

Delta Joe
v/p with Leroy Foster,g. Chicago, 1948
21.Roll, tumble and slip (I cried) [Opera OP-5,Chance 1115] (C)(Y)(@)
22.Train' time (4 o'clock blues) [Opera OP-5,Chance 1115] (C)(F)(Y)(@)

& His Sunnyland Boys (1001) or Muddy Water (1002)
p with Little Walter,v/hca-1; Floyd Jones,v-2/g; Muddy Waters,g-1; Leroy Foster,d; ensemble v-3. Chicago, 1948
23.Hard times-2 [Tempo-Tone 1001] (C)(F)(@)
24.School days-2 [Tempo-Tone 1001] (C)(F)(@)
25.Blue baby-1 [Tempo-Tone 1002] (C)(G)(@)
26.I want my baby-1,3 [Tempo-Tone 1002] (C)(F)(@)

v/p with Oliver Alcorn,ts; Robert Lockwood Jr.,g; Big Crawford,b. Chicago, 7 Apr 1949
27.Mud kicking woman [Mercury 8132] (B)(Y)(#)
28.Everytime I get to drinking [Mercuryury 8132] (B)(Y)(#)

v/p with Sam Casimir,g; Andrew Harris,b. Chicago, 26 Aug 1949
29.Sunnyland blues [JOB unissued]
30.Open book [JOB unissued]

& His Trio
Same. Chicago, 26 Aug 1949
31.Bad times [Delmark CD 655] (B)(H)
32.Bad times (Cost of living) [Apollo 416] (H)(#)
33.Hard times (When mother's gpne) [Delmark CD 655] (B)(H)(#)
34.Brown skin woman [Delmark CD 655] (B)(H)(#)
35.I'm just a lonesome man [Delmark CD 655] (B)(H)
36.I'm just a lonesome man [Apollo 416] (H)(#)

v/p with Snooky Pryor,hca; Leroy Foster,g. Chicago, Oct 1950
37.Back to Korea blues [Sunny 101] (I)(#)
38.It's all over now [Sunny 101] (I)(#)

v/p with Robert Lockwood Jr.,g; Moody Jones,b. Chicago, 22 Mar 1951
39.Down home child [JOB 102] (B)(J)(#)
40.Sunnyland Special [JOB 102] (B)(J)(#)

Sunnyland Trio
abb Billy Howell,ts-1; Alfred Wallace,d. Chicago, 22 Mar 1951
41.Dust my broom [unissued]
42.Leaving your town (No name blues) [JOB 1003] (J)(#)
43.Mary Lee [JOB 1003] (K)(#)

Sunnyland Slim
v/p with Oliver Alcorn,ts; Robert Lockwood Jr.,g; Big Crawford,b; Alfred Wallace,d. Chicago, 19 Apr 1951
44.I done you wrong [Airway LP 4279] (B)(#)
45.Orphan boy blues [Regal 3327] (B)(#)
46.When I was young (Shake it baby) [Regal 3327] (B)(#)
47.Shake it baby (alt tk) ["Aftre Hour Blues" Biograph LP 12010] (#)
48.(Low down) Sunnyland train [Airway LP 4279] (B)(#)

v/p with Robert Lockwood Jr.,g; Moody Jones,b; Alfred Wallace,d. Chicago, 9 Dec 1951
49.Ain't nothing but a child [Mercury 8277] (B)(E)(#)
50.Brown skinned woman [Mercuryury 8277] (B)(E)(#)
51.Hit the road again [Mercuryury 8264] (B)(E)(#)
52.Gin drinkin' baby [Mercuryury 8264] (B)(E)(#)

& His Boys or John Brim (JOB 1011)
v/p with unk v-1; Little Pete Franklin,g; Big Crawford,b/mrcs; Alfred Wallace,d. Chicago, 1952
53.Shake it baby-1 [JOB 1105]
54.Woman trouble (Overnite) [JOB 1105,1011) (B)(K)
55.City of New Orleans [unissued]

v-1/p with Johnny Shines,v-2; J.T. Brown,ts(except-3); J.b. Lenoir,g; Moody Jones,b; Alfred Wallace,d. Chicago, 12 Jan 1953
56.When I was young-1 ["A Bucket Of Blues" Constellation LP 6] (L)
57.Bassology ["A Bucket Of Blues" Constellation LP 6] (L)
58.Worried about my baby-1 ["A Bucket Of Blues" Constellation LP 6] (L)
59.Livin' in the White House-2,3 ["A Bucket Of Blues" Constellation LP 6]
60.Please don't-2 ["A Bucket Of Blues" Constellation LP 6]

v/p with Snooky Pryor,hca; Eddie Taylor or Floyd Jones,g; Alfred Wallace,d. Chicago, 3 Feb 1953
61.Troubles of my own [VJ unissued]
62.Worried about my baby [VJ unissued]
63.I done you wrong [VJ unissued]
64.Be my baby [VJ unissued]
65.Steady pistol [VJ unissued]

v/p with Snooky Pryor,hca; Eddie Taylor or Floyd Jones,g. Chicago, 1954
66.Going back to Memphis [Blue Lake 105] (E)(N)
67.Devil is a busy man [Blue Lake 105] (E)(N)

add Big Crawford,d/mrcs.
68.Shake it baby [Blue Lake 107] (E)
69.Bassology [Blue Lake 107] (E)

& His Playboys(JOB) or with Lefty Bates Combo(Club 51)
v/p with Ernest Cotton,ts; Robert Lockwood Jr.,g-1; Prince Candy,g-2; Moody Jones,b; Alfred Wallace,d.
70.Four [or 'Fore] day bounce-2 [JOB 1108] (K)(L)
71.That woman (You have heard of a woman)-1 [Paula CD 15] (K)

v/p with Red Holloway,ts; Louis Myers, Lefty Bates,gs; unk b; d. Chicago, 1955
72.Be mine alone [Club 51 C-106]
73.Sad and lonesome [Club 51 C-106]

Sunnyland Slim
v/p with Walter Horton,hca; Jimmy Rogers,g; Poor Bob Woodfork,b-g; Willie Dixon,b; S.P. Leary,d. Speech/p with Rogers,g,only-1. Chicago, 1956
74.It's you baby [Cobra 5006] (K)(L)
75.Highway 61 [Flyr LP 594] (K)(L)
76.Highway 61 [inc] [Flyr LP 594] (M)
77.Highway 61 [Flyr LP 594] (M)
78.Highway 61 [Cobra 5006] (K)(L)
79.Blues-1 [Flyr LP 594] (M)

v/p with unk g; Corky Robertson,b; Jump Jackson,d. Chicago, 1959
80.Something is going wrong ["Chicago Rock" Redita LP 108]]

Omit unk g. v with Little Brother Montgomery,p,only-1 Chicago, 14 Jul 1960
81.One room country shack [77 LP 12/21] (O)
82.Brownskin woman [77 LP 12/21] (O)
83.I got the blues about my baby [77 LP 12/21] (O)
84.Devil is a busy man [77 LP 12/21] (O)
85.Prison bound-1 [77 LP 12/21] (O)
86.Everytime I get to drinkin'-1 [77 LP 12/21] (O)
87.La Salle Street boogie [77 LP 12/21] (O)
88.Depression blues ["Chicago Blues" Southland CD 10]
89.Sad and lonesome ["Chicago Blues" Southland CD 10]
90.Disc jockey special-1 ["Chicago Blues" Southland CD 10]

v/p with King Curtis,ts(except-1); Robert Banks,org; Leonard Gaskin,b; Belton Evans,d. Englewood Cliffs, NJ, 15 Sep 1960
91.I'm prison bound-1 [Bv LP 1016] (P)
92.Slim's shout [Bv LP 1016] (P)
93.The devil is a busy man [Bv LP 1016] (P)
94.Brownskin woman [Bv LP 1016] (P)
95.Shake it [Bv LP 1016] (P)
96.Decoration Day [Bv LP 1016] (P)
97.Baby how long [Bv LP 1016] (P)
98.Sunnyland special [Bv LP 1016] (P)
99.Harlem can't be Heaven-1 [Bv LP 1016] (P)
100.It's you baby [Bv LP 1016] (P)
101.Everytime I get to drinkin' [OBC CD 558] (P)
102.Tired of your clowning [OBC CD 558] (P)

v/p with J.T. Brown,ts; Matt Murphy,g; S.P. Leary,d. Chicago, c.1960
103.Recession blues [Atomic H NI] (Q)
104.Everything's gonna be alright [Atomic H NI] (Q)

v/p with Gilbert Potter, Oett "Sax" Mallard,ts; Robert Lockwood Jr.,g; Lee Jackson,b; Jump Jackson,d. Chicago, 1961
105.Worried about my baby [Miss 117]
106.Drinking and clowning [Miss 117]

v/p with Homesick James,b. Chicago, 17 May 1963
107.Every time I got to drinking [Delmark LP 626] (R)
108.Poor boy [Delmark CD 626] (R)
109.My baby is coming with a marriage licence [Delmark LP 626] (R)
110.Depression blues [Delmark CD 626] (R)

v/p with St. Louis Jimmy,hca. Chicago, 9 Jul 1963
111.Lend me your love ["Rare Blues" Takoma LP 7081]

v/org with Homesick James, Evans Spencer,gs; Washboard Sam,wb. Chicago, 26 Mar 1964
112.Won't do that no more [unissued]
113.Won't do that no more ["Chicago Blues" Spivey LP 1003]
114.Won't do that no more [unissued]
115.Drinking ["Chicago Blues" Spivey LP 1003]
116.untitled instrumental [unissued]

Sunnyland Slim
v/p with Mike Bloomfield,g. Chicago, 19 May 1964
117.Brownskin woman [Jefferson SBACD 12653/4] (S)
118.The Devil is a busy man [unissued]
119.I've done you wrong [unissued]
120.It's you baby [Python LP 10] (S)
121.One room country shack [Python LP 10] (S)
122.Prison bound [unissued]
123.Sunnyland jump [Jefferson SBACD 12653/4] (S)
124.Rock me baby Take 2 [Jefferson SBACD 12653/4] (S)

v/p with Buddy Guy,g; unk b; d. Chicago, 1964
125.I got to get to my baby ["Blues-Southside Chicago" De LP 4748]
126.Every time I get to drinking ["Blues-Southside Chicago" De LP 4748]

v/p. Copenhagen, 8 Oct 1964
127.Prison bound blues [Sv LP 169] (T)
128.Johnson machine gun [Sv LP 169] (T)
129.Miss Ida B [Sv LP 169] (T)
130.Sad and lonesome blues [Sv LP 169] (T)
131.That's alright [Sv LP 169] (T)
132.Anna Lou blues [Sv LP 169] (T)
133.I done you wrong [Sv LP 169] (T)
134.It's you baby [Sv LP 169] (T)
135.Tin Pan Alley [Sv LP 169] (T)
136.Brown skin woman [Sv LP 169] (T)
137.You're the one [Sv LP 169] (T)
138.Going down slow [Sv LP 169] (T)
139.Woman trouble blues [Sv LP 168] (T)
140.Sittin' here thinkin' [Sv LP 168] (T)
141.One room country shack [Sv LP 188] (T)
142.Sunnyland's back beat boogie [Sv LP 213] (T)

v/p with Hubert Sumlin,g(except-1); Willie Dixon,b(escept-2); Clifton James,d(except-1). Hamburg, 9 Oct 1964
143.Everytime I get to drinkin' [Fon LP 5225] (U)
144.Levee camp moan-1,2 [Scout LP 1] (U)

Same. East Berlin, 1 Nov 1964
145.It's you, my baby [Amiga LP 850] (U)
146.Everytime I get to drinkin' [Amiga LP 850] (U)
147.We gonna jump [Amiga LP 850] (U)
148.Too late for me to pray [Amiga LP 850] (U)
149.Leavy camp moan-1 [Amiga LP 850] (U)

v/g with Hubert Sumlin,g. Chicago,
150.Too late to pray [B&B LP 101] (V)
151.House rock [B&B LP 101] (V)

v/p with Shakey Horton,hca; Johnny Shines,g; Willie Dixon,b; Clifton James,d. Chicago, 10 Jun 1968
152.Heartache [unissued]
153.Got to my baby [BH LP 7-63213] (W)
154.Heartache [BH LP 7-63213] (W)
155.Stepmother [BH LP 7-63213] (W)
156.Midnight jump [BH LP 7-63213] (W)
157.Depression blues [BH LP 7-63213] (W)
158.Stella Mae [BH LP 7-63213] (W)
159.Layin' in my cell sleepin' [BH LP 7-63213] (W)
160.I am the blues [BH LP 7-63213] (W)
161.Sunnyland Special [BH LP 7-63213] (W)
162.Lowland blues [BH LP 7-63213] (W)

v/p with George Smith,hca; Luther Allison, Mick Taylor,gs; Robert Elem,b; Francis Clay,d. Los Angeles, 2 Oct 1968
163.You used to love me [WP LP 21890] (X)
164.My past life [WP LP 21890] (X)
165.She's used to love me [WP LP 21890] (X)
166.Substitute woman [WP LP 21890] (X)
167.Canada walk [unissued]
168.Blue and lonesome [unissued]
169.Goin' back to Memphis [unissued]

v/org with George Smith,hca; Lloyd Glenn,p; Luther Allison,g-1;Steve Aaberg,g-2; Lowell Fulson,g-3; Robert Elem,b; Francis Clay,d.Org with Glenn,p,only-4. Los Angeles, 3 Oct 1968
170.Blue and lonesome-1,2 [WP unissued]
171.Dust my broom-1,2 [WP unissued]
172.Come day go day-1,2 [WP unissued]
173.Well alright-2,3 [WP unissued]
174.The Devil is a busy man-1,3 [WP unissued]
175.Pintop's boogie woogie-4 [WP unissued]

v-1/p with George Smith,v-2,hca; Al Wilson,2nd hca-3/g-4; Henry Vestine,g-5; Larry Taylor,b; Paul Lagos,d. Add Bob Hite,v-2; Paul Lagos, Henry Vestine, Richie Moore, Steve La Vere,background speech replace b & d-2. Los Angeles, 24 Oct 1968
176.Going back to Memphis-1,4,5 [WP LP 21890] (X)
177.Dust my broom-1,4,5 [WP LP 21890] (X)
178.Unlucky one-1,5 [WP LP 21890] (X)
179.Canada walk [unissued]
180.Jumpin' after midnight [unissued]
181.Blue and lonesome-3 [unissued]
182.Hot house stuff-2 [unissued]

v/p with George Smith,hca-1; Luther Allison,v-1,g; Randy Fullerton,g-2; Curtis Tillman,b; Gus Wright,d. v/p with Shakey Jake,hca; Big Mama Thornton,d, only-3. Los Angeles, 29 Oct 1968
182.Got to get to my baby-1 [WP LP 21890] (X)
183.Miss Bessie Mae-2 [WP LP 21890] (X)
184.Everytime I get to drinkin'-2 [WP LP 21890] (X)
185.Midnight stomp-2 [unissued]
186.Little girl blues-3 [WP LP 21890] (X)

v/p with Johnny Shines,g; Willie Dixon,b; Clifton James,d. poss 1969
187.Blues drove me out of my mind ["The All Star Blues World" Spivey LP 1011]

v/p with Johnny Shines, Mike Stewart,gs. Chicago, Sep 1969
188.Rolling and tumbling ["Really Chicago blues" Adelphi LP 1005]
189.Cuttin' out blues ["Really Chicago blues" Adelphi LP 1005]
190.She got a thing going on ["Really Chicago blues" Adelphi LP 1005]

(A) The Aristocrat Of The Blues (Chess MCA 9387) / Chess Box (Chess MCA 9340) / Walki' The Blues (Chess MCA MVCM-22100)
(B) Patriarch Of The Blues (OPAL OCD 110)
(C) Chicago Blues Hard Times (Indigo IGOCD 2095)
(D) Doctor Clayton and his Buddies (Old Tramp OTCD-05)
(E) Devil Is A Busy Man (Official 6043)【LP】
(F) Chicago Slickers 1948-1953 (Nighthawk 102)【LP】
(G) Chicago Slickers vol.2 1948-1955 (Nighthawk 107)【LP】
(H) House Rent Party (Delmark 655)
(I) Home Again Blues (Mamlish S-3799)【LP】
(J) Johnny Shines & Robert Lockwood (Paula PCD-14)
(K) Chicago Piano (Paula CD-15)
(L) Sunnyland Slim & J.B. Lenoir The Mojo Boogie (P-VINE PCD-2164)
(M) Otis Rush and Buddy Guy The Final Tales and others (Flyright FLY 594)【LP】
(N) Hand Me Down Blues (RELIC 7015)
(O) The La Salle Chicago Blues Recordings vol.1 (Wolf 120.296 CD)
(P) Slim's Shout (OBC CD 558-2)
(Q) Chicago Ain't Nothin' But A Blues Band (Delmark 642)
(R) Blues Piano Orgy (Delmark 626)
(S) I Blueskvater vol.1 (Jefferson SBACD 12653/4)
(T) Blues Masters Vol.8 (Storyville STCD 8008)
(U) Blues Anytime! (EVIDENCE ECD 26052)
(V) Bea & Baby Records Vol.1 (Wolf 120.293 CD)
(W) Midnight Jump (Columbia/Blue Horizon COL 478290 2)
(X) Slim's Got His Thing Goin' On (Sequel NEXCD 212)
(Y) The Walking Cycloon (ZIRCON Bleu 516)
(@) The Chronological Sunnyland Slim1947-1948 (Classics 5013)
(#) The Chronological Sunnyland Slim1949-1951 (Classics 5035)

(2000年9月14日記)
(2000年9月18日改訂)
(2001年11月26日改訂)
(2002年7月31日改訂)

Special Thanks to Harunobu Tuchida, KO-1 and Kenichi Sasaki


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