Motor City Josh

Living Like A King In The Ghetto

Going To The Country

Live In Atlanta

Acousticly Sound 1995-2001

Stringer Full Of Blues Vol.1

Joshのシカゴでの様子が、菊田俊介氏のシカゴブルース日記で紹介されています。
2002年3月16日及び、2004年1月14日の日記をご覧下さい。


Motor City Josh
Living Like A King In The Ghetto
(No Cover Productions NCP-004)

  1. Real Love
  2. Living Like A King In The Ghetto
  3. Bar Life
  4. Crazy 'Bout You Baby
  5. Shut Up Woman
  6. 5231 Moran Street Blues
  7. Goin' Fishin'
  8. Gas Station Sandwich
  9. Conductor, Conductor
  10. Day Shift/Night Shift
  11. So Long
  12. Another Man's Woman
  13. On Line
  14. Behind Every Good Man
  15. I've Been Your Fool So Long

試聴は、ソングリストからリンクされたページからどうぞ。


モーター・シティ・ジョシュ、本名ジョシュア・フォードは、1971年12月24日のクリスマスイブにデトロイトに生まれた。両親が救世軍のオフィサーをやっていた関係で、フロリダやジョージアなどを転々とし、再びデトロイトに戻ってきたのはティーン・ネイジャーの頃であったという。
父親が音楽好きで、50sや60sのポップスやブルース、カントリーなどに囲まれて育った。
そのジョシュが、ブルースに目覚めたのは12歳の時であった。当時住んでいたフロリダのクラブに、父親と一緒にバディ・ガイとジュニア・ウェルズのショーを見に行ったとき、ジョシは完全に彼らのステージに魅せられて、父親にこう言ったという。
「これこそが僕の進むべき道だよ!」


そんなジョシュが作った最初のアルバムが、今回紹介する"Living Like A King In The Ghetto"である。
1996年の作品であるので、彼が25歳の時のものである。
バディ・ガイに打ちのめされてブルースに目覚め、アルバート・コリンズをアイドルするジョシュだが、この作品はブルース・オンリーのアルバムではない。
ブルースをベースとしているが、彼が幼い頃から聴いてきた数々の音楽が見事に融合したジョシュの世界が展開されている。

気持ちのいいオルガンが印象的なバラード"Real Love"からこのアルバムは始まる。ソウルと言うより、むしろ良質なサザン・ロックを聴いているようだ。無理にがなっていないボーカルにも好感を持てるが、テレキャスターから繰り出されるジョシュのギターが良く歌っている。否が応にも期待が膨らむオープニングである。
銃声と車が走り去る音が被せられたタイトル曲の"Living Like A King In The Ghetto"は、ホーンの入ったファンキーなナンバー。と言っても、これまたブルースと言うよりは後期イーグルスのファンが好みそうな音作りだ。
"Ain't Nobody Bizness"に通じるバラードの"Bar Life"には、これまたバーの喧噪が効果音として使われている。切ないサビ付きのメロディーの美しさといい、アコースティック・ギター一本でエンディングに入るところのアレンジといい秀逸。歌詞の内容は自分の体験から来たものだという。きっと飲んだくれていたんだろうなあ。
次の"Crazy 'Bout You Baby"からは、ブルースが4曲続く。"Crazy 'Bout You Baby"は、2拍3連のカッティングがかっこいいアップテンポのブギ。オルガンのデヴィット・マティスが大活躍だ。
アルバート・キング〜スティービー・レイ・ヴォーン風のイントロで始まるスロー・ブルースは"Shut Up Woman"。途中でアイドルのアルバート・コリンズ風のフレーズも出てきてジョシュのテレキャスターが歌いまくる。
"5231 Moran Street Blues"は、ホーン入りのファンク・ブルース。これまたアルバート・コリンズ風で彼への傾倒ぶりがよくわかる。
アコースティック・セットの"Goin' Fishin'"。バトラー・ツウィンズのクラレンス・バトラーとのデュオである。クラレンスのハープがいい感じで枯れていて、思わず聴き惚れてしまう。
ちなみにジョシュは釣りが大好きで「自分でも上手い釣り師だと思うよ」と言っている。「フィッシングをテーマにした曲だけでアルバムを作ろうかなあ」などとメールに書いてきたが、あながち冗談ではないかも?
続く"Gas Station Sandwich"は、もろにフュージョン。それだけで毛嫌いする人もいるかも知れないが、ドライブしたリズムに乗って、ジョシュのギターとマティスのオルガンが気持ち良く鳴り響く。実際シカゴあたりでもブルース・バンドがフュージョンをプレイすることも多く、ライブのオープニングなどで使われる曲なのかも知れない。
"Conductor, Conductor"は、2001年7月24日に亡くなったばかりの「ゴッドファーザー・オブ・ザ・ブルース」とデトロイトで呼ばれていた、トニー・ヴァレンチノがボーカルをとるミディアム・テンポのブルース。トニーは、全くデトロイト・ローカルのブルースマンではあったが、若手からは絶大な信頼を得ていた人である。ジョシュも自分のファースト・アルバムを作るにあたって彼の参加を依頼したのであろう。ジョシュのボーカルの方が自然で聴き苦しくないことが皮肉ではあるが。
"Day Shift/Night Shift"は、アッと驚くカントリー・ナンバー。少年時代からカントリー・ミュージックには親しんでいたと言うが、完璧なカントリーのギター・プレイである。こういう曲がアルバムの流れの中で自然に出てくるのが彼の魅力と言えるであろう。
カントリーを軽く決めたあとは、スライド・ギターに持ち替えての"So Long"。そして、ラストを飾るは、アコースティック・ギターの弾き語りでのスロー・ブルース。一見地味な終わり方のようにも感じるが、自分にとって特別な曲であるとはジョシュの言葉。"Another Man's Woman"とは意味深だ。ほろ苦い想い出でもあるのだろうか。


ジョシュの友人でもある菊田俊介氏の話によると、彼は時間が取れると友人と共にアメリカ全土を廻ってブルース・クラブ巡りをするほどのブルース好きであるらしい。シカゴにも二ヶ月に一回は現れてシットインしていったという。
そんな話や、バディ・ガイに影響されて音楽を始め、アルバート・コリンズがアイドルだという話を聞くと、それだけで彼が初めて作ったアルバムの内容が判ってしまうような気がする。しかしジョシュは、そんな勝手な想像をぶち壊し、実にノビノビとしたアルバムを作り出した。
所有するディスクの枚数が増えるにつれて、繰り返し聴くアルバムは減ってしまうものだが、そんな中でも折に触れて聴きたくなるアルバムがある。そんなアルバムの中の一枚がこのCDである。

追記
ジョシュはこのアルバムの発表により、1997年度Detroit Music AwardsのOutstanding Blues Musician(重要なブルース・ミュージシャン)にノミネートされた。
一時在庫切れの状態になっていたこのアルバムだが、デジタル・リマスターを施し、新たに3曲追加された盤が2002年3月17日にリイシューされた。

1996年作品


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No Cover Productions


Motor City Josh
Going To The Country
(No Cover Productions NCP-009)

  1. Going To The Country
  2. Watch What You're Doin'
  3. Little Hoochie Mama
  4. Later For You Baby
  5. Big City Hillbilly
  6. These Funkin' Blues Is Killing Me
  7. I Got News For You Baby
  8. I'm Good
  9. Blues Playin' Bassman
  10. Back In The Day
  11. She's So Doggone Fine
  12. I'm Still Drunk From Last Night
  13. I Live The Blues
  14. I'd Rather Go To The Bar

試聴は、こちらからどうぞ。


ファースト・アルバムにおいて、自己の音楽遍歴の集大成とも言える非常に完成度の高い作品を作ってしまったモーター・シティ・ジョシュ。
1997年度Detroit Music AwardsのOutstanding Blues Musician(重要なブルース・ミュージシャン)にノミネートされ、1998年の同賞ではBest Blues New Groupに選出された。まさにデトロイト・ブルース・シーンの期待の星であり、一気に彼の評判は高まったのである。
1997年には、デトロイトのブルースマンをパッケージした、"Blues From The Heart vol.3" (Way-Sac原盤。現在は、No Cover Productionsからリイシュー)と"Uncut Detroit" (Venture Records HFC52297) という2枚のコンピレーション・アルバム(共にライブ録音)に参加し、ジョニー・バセットやジョニー・ヤードドッグ・ジョーンズらデトロイトの大物達と肩を並べての熱演を聴かせてくれた。

注:下記のリンクから、試聴ができます。
"Blues From The Heart vol.3"に収録の"Big City Hillbilly"は、このページから。
"Uncut Detroit"に収録の"Someone Else Is Getting That Good Thing"は、このページから。


このアルバムは、ジョシュの2作目のアルバムとして1998年に発表された。一部を除いて前作とはバック・メンバーが替わっているが、プロデュースはジョシュとマイク・ボウランのコンビで、ファーストと同じである。特筆すべきは全曲彼のオリジナルだということだ。前作でも2曲を除いて彼のペンによるものであったが、ソング・ライターとしての才能もいかんなく発揮している。

サザン・ロック風のスライドギターが冴え渡る"Going To The Country"からこのアルバムは始まる。釣りとハンティングをこよなく愛するジョシュらしい内容のミディアム・テンポの曲である。いかにも「白人らしい」スライドは私の趣味ではないが、かといって弾きすぎるわけではなくいい感じではある。
レイドバックした雰囲気から一転してファンキーなブルース・ナンバーの"Watch What You're Doin'"とブギの"Little Hoochie Mama"と続く。ピアノは前作でのデヴィット・マティスの方に軍配が上がるが、ジョシュのテレキャスターは気持ち良く鳴り響く。
ちょっとアップテンポで盛り上げたあとは、三連バラードの"Later For You Baby"。ギターとボーカルがユニゾンで歌ったり、効果的なブレイクの使い方などアレンジ面での面白さが光るが、やはりピアノが気になってしまう。こういった曲では特に重要な役割を果たすだけに何とも惜しい。
続く"Big City Hillbilly"は、なんとブルースとカントリーを結合させた異色曲。前述の"Blues From The Heart vol.3" でもプレイしていたが、ありそうでなかったアレンジにのけ反った。こういった柔軟性がこの人の面白いところである。ただし、ライブ録音の方が音の勢いがあり数倍面白い。"Blues From The Heart vol.3"での同曲の方を先に聴いていただけに、若干拍子抜けだ。
マイナー調のファンク・ブルース"These Funkin' Blues Is Killing Me"からメドレーで、スロー・ブルースの"I Got News For You Baby"へと続くところはこのアルバムの最大の山場と言える。アルバート・キング、アルバート・コリンズ、バディ・ガイといった彼に影響を与えたブルースマンの姿が見え隠れする佳曲だ。押し引きの駆け引きにもゾクゾクさせられる。ジョシュのギターも存分に楽しめ、ぜひライブで聴いてみたい曲である。
ホーンが入った"I'm Good"は、B.B. キングの影響が感じられるミディアム・ナンバー。素直に終わらないエンディングが○×風では終わらない彼のオリジナリティーを感じる。
再びスライドを弾きまくる"Blues Playin' Bassman" (Bassmanとは、ベースマンではなく、ブラックバスを釣る自分のこと) を挟んで、スタックス・サウンド風のイントロで幕を開ける"Back In The Day"。ソウルと言うよりやはりサザン・ロックか?
またもファンキーな"She's So Doggone Fine"を聴いていて、オルガンの雰囲気が良かったのでクレジットを見たら、ジョシュ自身が弾いていた。派手に前面に出るわけではないが、センスが良いとはこういうことを言うのであろう。
前作に引き続きカントリー・ナンバーの"I'm Still Drunk From Last Night"を趣味丸出しで決めたあとは、ブギの"I Live The Blues"。サックスのソロも入り、小粋なサウンドだ。
ラストを飾るは、前作と同様にアコースティック・ナンバー。ジョシュは、自己のバンドThe Big 3を率いるかたわら、毎週2回アコースティック・セットのライブも行っているという。ブルースに捕らわれず、自分の音楽を自分のやりたいようにやるという空間を大切にしているのであろう。それこそがジョシュの最大の魅力なのである。

追記
このアルバムを発表後、ジョシュは、1999年度Detroit Music AwardsのOutstanding Blues Songwriterにノミネートされた。これで3年連続で同賞を受賞またはノミネートされたことになる。
まさに順風満帆の彼であったが、この年、突如としてデトロイトを離れ、アトランタ近郊に居を移した。
理由は「もっと多くの人に私の音楽を聴いてほしかった」からだという。最初はシカゴを新天地として考えたらしいが、いくらデトロイトで有名でもシカゴでは新参者の中の1人でしかない。簡単には仕事をもらえない事を痛いほど知っていたのだ。
そんな時、インターネットでアトランタ・ブルース・ソサエティのウェブ・サイトを訪問した。そこには多くのブルース・ファンが集まり、心ゆくまで自分の音楽をプレイするには最適な場所だと思われた。
こうして彼は、彼自身が少年時代を過ごしたジョージア州を目指すことになったのであった。

1998年作品


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No Cover Productions


Motor City Josh and The Big 3
Live In Atlanta
(No Cover Productions NCP-015)

  1. Like A Rooster On A Hen
  2. Goin' To The Country
  3. Manish Boy
  4. Catfish Blues
  5. Still Drunk From Last Night
  6. "Buckle Up" It's The Law
  7. Real Love
  8. Someone Else Been Gettin' That Good Thang
  9. Little Hoochie Mama
  10. Work Is A 4 Letter Word

Josh Ford-Guitar, Vocals and Pure Energy
Keith Otterbeck-Bass, Vocals and a Groove that make You Move
Andrew "Mac" McDowell-Drums, Vocals Funk Master and Spiritual Adviser
Jeff Holsomback-"Pie-ano" Piano and more
The Party Starters-Singin', Screamin' and Bootie Shakin'
Mike Boulan-Engineer and Table Dancer

"Like A Rooster On A Hen"は、このページから試聴できます。このページから購入もできます。
"Someone Else Been Gettin' That Good Thang"は、このページの、mcj8.mp3 をクリックして下さい。ちょっと重いです。


1999年にデトロイトからアトランタに居を移し、年間300本を越えるギグと釣りを楽しむジョシュ。菊田俊介氏によると、トゥルーディー・リンやサンドラ・ホールもアトランタに拠点を移し、彼の地のシーンは大きな盛り上がりを見せているという。
そのアトランタで、新たにバンドを結成したジョシュは、3年間のブランクを置いてライブ・アルバムを発表した。これまでも、一部のオムニバスで彼のライブ・パフォーマンスを聴くことが出来たが、フル・アルバムは初めてだ。自らの名刺に「エンターテイナー」と記する彼のステージを見たい(聴きたい)と思っていただけに嬉しい贈り物である。


デトロイト時代から、ジョシュのバンドは、Motor City Josh and The Big 3と名乗っていたが、アルバム名義は、Motor City Joshであった。しかし今回は、The Big 3の名前もきちんとクレジットされている。それだけ、新生The Big 3とのコンビネーションに自信を持っているのであろう。

オープニングは、セカンド・アルバムに収録されていた"I'm Good"を改作した"Like A Rooster On A Hen"。自分の作品を改作するのも珍しいが、歌詞が微妙に変えられている。アトランタに移って心境の変化でもあったのだろうか。ミディアム・テンポのグルーブがメチャクチャ気持ちがいい。
2曲目からは、スライド・バーを指にはめる。まずは、セカンドのオープニング・ナンバーだった"Goin' To The Country"だ。彼のスライドはレギュラー・チューニングなのでフレーズが多彩だ。アルバート・コリンズ直伝のギター/ボーカルのユニゾンも随所で聴かれる。
そのまま大スタンダードの"Manish Boy"へ。この曲をスライドでやるのは初めて聴いたが、これがピッタリはまっている。途中でMCを入れ、客を煽りながらズンズンと突き進んで行く。地元でのライブと言うこともあり、バンドも客もリラックスしながら楽しんでいる様子が伝わってくる。
しっかりと客の心を掴んだところで、なんと南部クラシックスの"Catfish Blues"が始まった。うねる様なファンキーなグルーブだが、ギターのリフはデルタのビートだ。ところが、ピアノ・ソロが始まる頃から、ジョシュのギターもファンキーなカッティングを刻みだす。曲の雰囲気がガラっと変わる!う〜ん、気持ちいい!!
ドラム・ソロ、ベース・ソロを挟み、ラップまで飛び出す始末。"Funky Blues You Can't Refuse !!!"とは、最近のジョシュのキャッチ・フレーズだが、全くその通り。17:47の長尺だが、心地よいグルーブに全く長さを感じさせない。
すっかり「その気」になったところで、お次はなんとカントリー・チューンの"Still Drunk From Last Night"。ところがその流れに全く違和感を感じない。「ブルースもカントリーもロックも好きだから、何でもやるぜ!」ってのが彼の個性なのだ。
新曲のインストのブギを弾きまくった次は、ファースト・アルバムのトップを飾ったバラードの"Real Love"。スタジオ盤ではオルガンのイントロが印象的だったが、ここではギターにピアノが絡む構成。オリジナルより若干テンポも速いが、この曲の美しさは変わらない。本当にいい曲だ。
ちょっと落ち着いたところで、オムニバスの"Uncut Detroit"にも収録されていた"Someone Else Is Getting That Good Thing"を再びファンキーに。デトロイト時代よりもリズム隊がタイトになり、ファンク度も大幅にアップしている。特にドラムスのアンドリューの加入は大きく、さすが「ファンク・マスター」を名乗るだけのことはある。
さて、ライブは佳境に入る。セカンドに収録されていた"Little Hoochie Mama"は、軽快なブギ・ナンバーだ。ピアノのジェフが大きくフューチャーされているが、若干力不足か。
そしてラストは、チャック・ベリー・スタイルのロックンロール。ここでのジェフのピアノは絶好調。こういったタイプの曲の方が得意なのであろう。徐々にヒート・アップしていくバンド。客席の狂乱ぶりが手に取るように伝わってくる。


アトランタに移り、素晴らしいバンドとファンを手に入れたジョシュ。このライブ・アルバムは、そんな彼の充実ぶりがストレートに伝わってくるものと言えよう。
次作はなんとスタンダード中心のアコースティック・アルバムだという情報もある。毎週2回アコースティック・セットを持っている彼のことだから、そんなに意外でもないのだが、いったいどんなアプローチを見せてくれるのだろうか。
2001年中には発売できるとのこと。否応なく期待は膨らむ。

2001年作品


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No Cover Productions


Motor City Josh
Acousticly Sound 1995-2001
(No Cover Productions NCP-021)

  1. Big Boss Man
  2. I'm Ready
  3. Shake Your Money Maker
  4. The Sky Is Cryin'
  5. The Kitty Cat Song
  6. Rollin' & Tumblin'
  7. Little Red Rooster
  8. Crazy Love
  9. King Bee
  10. Ice Cream Man
  11. Big Fat Blues
  12. The Bluesman
  13. No Fish
  14. "Dangerous" Dan's Boogie

Big Fat Bluesは、ここで試聴できます。


前作のライブ盤が出た時点で「次はアコースティック・アルバムだ」と語っていたジョシュ。そのアルバムが2001年12月に発売となった。タイトルにもあるように、1995年から2001年までの間に録り貯めた14曲が収録されている。
オリジナルはわずかに1曲。後は全てカヴァー曲である。しかし、年間100本以上のアコースティック・ギグをこなすジョシュである。ありきたりのカヴァー集にはならないであろう。さてどんな切り口を見せてくれるのだろうか。


アルバムは、どこかで聴いたことがあるような「デルタ風」のギターのイントロで始まる。そのまま「あの」印象的なリフに突入して、ジミー・リードの"Big Boss Man"をかなり早めのテンポで歌い始める。歌詞も若干変えているようだ。オシャレなコード進行を取り入れた"I'm Ready"。スライド・ギターでのエルモア・メドレー("Shake Your Money Maker"〜"The Sky Is Cryin'")では、前者はオリジナルにほぼ忠実にプレイするも、後者はグッとテンポを落として独自の世界を展開している。
ここまで一気に聴かせた後は、カントリー・ナンバーと言うかノベルティ・ナンバーの"The Kitty Cat Song"。誰の曲がオリジナルなのか不明だが、子供の頃に聴いた曲なのであろうか?
ジョシュの真骨頂を見せるのは続く5曲。"Rollin' & Tumblin'"、"Little Red Rooster"、"King Bee"などの有名曲が並ぶが、色々な曲が織り込まれており、まるで宝石箱のよう。圧巻は、ロックンロール・メドレーの形式を取った"Ice Cream Man"。ご存じジョン・ブリムの代表曲だが、"Matchbox"や"Blue Suede Shose"、"Honey Don't"などの曲の間に"Ice Cream Man"の歌詞が散りばめてある。やはり一筋縄ではいかない男だ。途中に挟まるオリジナルの"Crazy Love"ではホッと一息つかせてくれる。
スロー・ブルースの"Big Fat Blues"をオーソドックスに決めた後は、ハンク・ウイリアムスの"The Bluesman"とチャック・リヨンなる人物の"No Fish"が続く。後者のオリジナルを聴いたことがないが、スタジオにいた人たちがコーラスで参加する楽しい曲だ。
ラストは、ハープのダン・モング(モン?)が参加した""Dangerous" Dan's Boogie"。ただし曲は、ウォルター・ホートンの"Walter's Boogie"だ。タイトルにデンジャラスとあるが、名前負けとはこのこと。去勢されたホートン風といったら言い過ぎか。


地味といえば地味なこのCD。ジョシュのアルバムの中で最初に聴くべきものではないであろう。しかし何度も言うように、ただブルースのスタンダードをアンプラグドで演奏したという類のものではない。ジョシュのアイディアがいっぱい詰まった楽しいアコースティック・アルバムだ。
「やっぱりやってくれたか」とニヤリとさせられた。ジョシュとはそういうミュージシャンなのだ。

No Cover Productionsの担当者によると、次作はジム・マッカーティー(ミステリー・トレイン/デトロイト・ブルース・バンド)との共演作だという。デトロイト・ブルース・シーンの大物との共演はどの様な効果を生みだしたのであろうか。本当に彼からは目が離せない。

ちなみに、彼のウェブサイトによると「このアルバムには、子供に適さない歌詞を含んでいるかも知れません」という表記があります。よい子の皆さんは、訳さないようにしてください(^^;;

2001年作品


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No Cover Productions



Motor City Josh and the Big 3
Stringer Full Of Blues Vol.1
(oMo BlueStar Music Group OR-70002)

  1. No Fish
  2. Blues Playin' Bass Man
  3. Catfish BBQ
  4. The Skillet
  5. True Fishin' Man
  6. Early Worm
  7. Gonna Do Some Fishin' Baby
  8. Goin' Fishin'
  9. New Fishin' Lure
  10. Stringer Full Of Blues
  11. Monster Bass

試聴は、こちらからどうぞ。


10月の半ばのことであったが、ジョシュからこんなメールが来た。

"I have a new CD out now that I think is my best sounding CD so far !!!"

早速、彼のウェブ・サイトをのぞいてみると、いやー、笑った笑った。あまりにもバカバカしいジャケットに腹を抱えて笑ってしまった。
前作のレビューの最後に「次作はジム・マッカーティーとの共演アルバムを、No Coverから発表する」と書いたが、その前にoMo BlueStar Music傘下のOutdoor Recordsなるレーベルから、全て釣りを題材にしたアルバムを発表してしまったのである。
以前から釣りとハンティングが趣味とは聞いていたが、まさかこんなアルバムを作るとは・・・。
Outdoor Recordsのサイトを開くと、「アウトドアレコードはアウトドア・タイプ用音楽を提供するレーベルです」という文章が。
ジョシュにとってみれば、まさに水を得た魚。これこそ作ってみたかったアルバムなのであろう。

それにしても、このアルバムに対する彼の意気込みは凄い。全てオリジナル作品を揃えたのだから。しかも前作発表後に新作をレコーディングしているなんて話は聞かなかったから、短期間に作曲し録音してしまったのであろう。
レコーディング・メンバーは、現在のThe Big 3。弟のカレブをサイド・ギターに加えた4人編成だ。このメンバーで年間300本近いギグをこなしているので、コンビネーションは全く問題はない。

シャッフル、ブギ、アコースティック・ナンバー、スローと続いた後に、カレブの歌うカントリー・チューン!いつもながら感心させられるアルバムの流れとアレンジの妙。1stアルバムでは、クラレンス・バトラーのハーモニカをフューチャーしたアコースティック・ブルース仕立てだった(8)も、ここではサビ付きのロックンロールに生まれ変わっている。
アメリカン・ミュージックの美味しいところを吸収し、自分のものにする才能はさすがだ。

毎回、色々な意味で驚かせてくれるジョシュ。
さて次はどんな仕掛けで私たちを驚かせてくれるのだろうか。

2002年作品


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