シカゴのハーピスト、マシュー・スコラーの1stアルバム。2ndアルバムの方は一足お先にapple Jamさんで好評発売中だ。
全体的な作りは2ndの方に軍配が上がるが、このアルバムの価値を高めているのは、シカゴでも5本の指に入るといわれている名ギタリスト、カルロス・ジョンソンがゲストで参加をしているということだ。
カルロスは元SOBsのギタリストで、ヴァレリー・ウェリントンと共に来日経験もある。そのプレイはディープなブルース・フィーリングを持ちつつ、ジャズのフレイヴァーとファンキーさをちりばめた、まさにオリジナリティ溢れるもの。私は初めて彼のプレイを観たときに、ベンドのタイミングの素晴らしさや多彩なコードワークに鳥肌が立ってしまった。
しかし、それほどの才能の持ち主である彼であるが、その録音は余りも少なすぎる。私の把握している限り、本作と彼の2ndである「The
Matthew Skoller Band/Shoulder To The Wind」(Tongue 'N Groove Records)、「The
SOBs/Where's My Money?」(Evidence ECD 26069-2)、「Son Seals/Bad
Axe」(Alligator ALCD 4738)、「Valerie Wellington/Life in the Big
City」(GBW -002)位のものではないだろうか。
本作は、彼自身が「非常に満足している」とマサ原谷氏に語った通り、彼の個性的なギター・プレイを楽しむことが出来る。惜しいのはたったの3曲のみしか参加していないことだが、スロー・ブルースでのディープなスクィーズ(彼はアルバート・キングやオーティス・ラッシュの様に右手用のギターをそのまま左手に持ち替えて演奏している)、ファンキーな曲での見事なコード・ワークを余すとこなく捉えている。
肝心のマシューだが、コットンやウォルター・ホートンの曲をやってはいるものの、オリジナル曲を中心に勝負しているのは2ndと同様。全体のサウンドを楽しむというスタンスで聴くべきであろう。
1996年作品
入手先
Blues
Harmonica Wizard Matthew Skoller
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