Jerry Waddel
"A Night with the Blues"
(TA TANKA Records TRCD-010)

  1. Mamma Kat
  2. I Got To
  3. You Do Me Right
  4. Feelin Good
  5. Down That Road
  6. Talk About It
  7. A Night With The Blues
  8. Amy-Anna Lou
  9. Thinkin About You
  10. Big Butt Blonde
  11. Give Me Love

試聴は、こちら


初めて彼の"I Got To"を聴いたとき、その美しいイントロとソウルフルなボーカルが私の琴線に触れた。彼のウェブ・サイトを訪問し、アルバム収録曲を試聴した時のことだ。
1946年にアーカンソーで生まれたジェリーは、森林伐採の仕事をしていた彼の父親について、アーカンソーやコロラドの森林地帯を移り住んだという。9歳の時にギターを手にし(それは、クリスマスのプレゼントで貰ったステラだったという)、その時彼の音楽人生は始まった。

「私は、木材伐採場にあったホンキー・トンク(中西部に多くあった安酒場。バレルハウスとほぼ同じ様なもの)で演奏されていたダンス・ミュージックから多くのものを学んだ。私が初めて演奏したのもホンキー・トンクであった。しかし私の演奏はひどいものであった。客達はそんな私を見て笑い、私はモーテルのベッドで枕が濡れるほど泣き、私に力を与えて下さいと神に祈った。そんな日々が幾晩も続いたが、その経験が私を鍛えた。」
「私が、初めてブルースを弾いたのは、カリフォルニアからミシシッピーに移ったときである。私は、ストリングをベンドする技術を学んだ。それは、私のソウルを表現するのに最適な方法であった。私は新しいアイディアを織り込み、私の音楽を確立するために突き進んだ。」
「私が若かった頃、モーテルの部屋で神に祈ったことが、いま実を結びつつある。あなたが、私の歌とギター・プレイにソウルを感じと言ってくれるとすれば、それは全て神の思し召しである。」

ジェリーは、好きなミュージシャンとして、ジミー・リード、アルバート・キング、B.B. キング、ジョニー・ウインター、ロニー・マック、オーティス・レディング、サム・クック、ウィルソン・ピケット、エタ・ジェイムス、マヘリア・ジャクソン、エルビス・プレスリーらの名前を挙げている。
ワイルドターキーのコマーシャルで有名になった、ハーピストのミシシッピー・モリスと長い間一緒にプレイをした後、現在はテネシー州ナッシュビルの近郊に住み、現地のミュージシャンやクラブ・オーナーから絶大な信頼を寄せられているという。

そんなジェリーの初リーダー作が、この「A Night with the Blues」である。ドラムに息子のトッド、ベースに弟のディーン、ピアノにランディ・リンハード、ハモンドB3にデニス・ウェイドというメンバーである。B3のデニスとは今回初めてプレイをしたらしいが、トッドとは15年間、他のメンバーとは25年以上一緒にプレイをしているという。なるほど息のあった演奏が繰り広げられている。
曲は全てオリジナル。ブルースが中心だが、バラードあり、ロックンロールありとバラエティに富んでいる。ソウルフルなジェリーのボーカルと、オールド・ストラトキャスターから繰り出されるソリッドなギター・プレイを随所で楽しむことが出来る。
この作品は、むしろサザン・ロックのアルバムに近いと言っていいと思うが、ブルースのフォームをなぞっただけの作品が数多く垂れ流されている現在、凡百の「ブルース・アルバム」よりよっぽど楽しませていただいた。

決して「全音楽ファンにアピールする傑作アルバム」といった類のものではないが、「こんな素敵な演奏と出逢えるから音楽ファンはやめられない」としみじみと思わせられる作品だ。
う〜ん、なんか得したなあ。

2000年作品


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