Howard Scott and Chick Rogers with The World Band
Live...Double Action from the Kingston Mines
(Starbound Records SB-1662 A/B)

    Howard Scott

  1. Stormy Monday
  2. No Good Woman
  3. Don't Throw Your Love On Me So Strong
  4. You'll Never Find Another Love Like Mines
  5. Sweet Home Chicago

    Chick Rogers

  6. Don't Play That Song For Me
  7. I Sing The Blues For You / The Thrill Is Gone
  8. Just Because
  9. Last Two Dollars
  10. To Know You
  11. Natural Woman


シカゴから、熱いライブ盤が届いた。
故バディ・スコットの弟であるハワード・スコットが中心となったザ・ワールド・バンドにチック・ロジャースが加わった、キングストン・マインズでのライブである。
ハワード・スコット&ザ・ワールド・バンドは、キングストン・マインズを中心に活動し、ブルースのみならず、R&Bやソウル・ナンバーも得意とするバンドである。典型的なサウスサイドあがりのバンドとでも言おうか。シャイライツやタイロン・デイヴィスとも活動していた経験を持つ実力派だ。
メンフィス出身のチック・ロジャースは、1989年にシカゴに出てきて以来、10年以上に渡ってシカゴのクラブを中心に人気を集めてきた。身長150センチほどの小さな体から発せられるシャウトは、まさに驚異的。どこにそんなパワーがあるのだろうかと思わされる。
ブルース・アンド・ソウル・レコーズ誌のNo.5での「シカゴ・ブルース・シーンは今...」という企画で、ジェネラル・クルック、ディック・シャーマンという2大プロデューサーが、揃ってチックを「今一番期待するアーティスト」に挙げ、「未だにレコードが出ていないのが不思議」と絶賛していたシンガーだ。
私の知る限り、このアルバムがハワード・スコット&ザ・ワールド・バンドとしては2枚目、チック・ロジャースは初めてのアルバムとなると思う。
まさに現在進行形シカゴ・ブルース・ファン待望のアルバムと言えるだろう。


ステージは、キングストン・マインズの名物MCフランクの紹介でハワード・スコットが登場。ファンキーかつオシャレなコード進行にアレンジされた"Stormy Monday"で始まる。今まで数多くこの曲を聴いたが、このようなアレンジは初めて聴いた。実にカッコイイ!まさに「今の」シカゴのブルースである。
タイトなザ・ワールド・バンドのサウンドに乗って、"No Good Woman"と"Don't Throw Your Love On Me So Strong"と言ったブルースが続く。後者はアルバート・キングのスロー・ブルースだ。ハワードのヴォーカルは、ソウルの影響を強く受けており、黒人街の匂いがプンプン漂ってくる。
ブルースが続いた後は、なんとギャンブル / ハフによるフィリー・スウィート・ソウルの"You'll Never Find Another Love Like Mines"。いやー、いいなあ、こういう展開。その場にいたら鳥肌ものであろう。
そして、11:33にも及ぶ"Sweet Home Chicago"でハワードのステージは締め。彼らはこの大スタンダード曲を、随所にキメを入れながら自分らの曲に仕上げている。

続いてはお待ちかねチック・ロジャースの登場である。
まずは得意のアレサ・フランクリンの曲から。ザ・ワールド・バンドとは長いこと一緒にやっていたのでコンビネーションもバッチリ。チックのシャウトを盛りたてる。本当に素晴らしいシンガーだ。
歌詞を少し変えた"I Sing The Blues For You / The Thrill Is Gone"のブルース・メドレーに続き、ジョニー・テイラーのバラード、"Just Because"をしっとり聴かせる。この辺はホーンやストリングスを加えたサウンドで聴いてみたいが、自主制作ではここまでが限界。
じっくりと聴かせた後に、またしてもジョニー・テイラーの"Last Two Dollars"をアップ・テンポのアレンジで。曲の良さもあり興奮も最高潮に達する。
そのままメドレーで"To Know You"へ突入。決してガナらないシャウトが気持ちいい。
そして出ました!ラストを飾るはアレサの名バラードの"Natural Woman"。ステージではおそらくアンコールで歌われたと思うが、最後にこんな名曲を持ってくるなんて...。シンセサイザーがチープだが、チックの熱唱はそれを帳消しにする。
心温かくなるエンディングである。


何度も言うが、ソウル色の強いステージは、まさしく今のシカゴのサウンドだ。連夜繰り広げられているショウをそのままパッケージしたのがこのアルバムである。
自主制作のため多少のチープさは免れないが、熱いステージがダイレクトに伝わってくる好盤だ。70分のアルバムだが、決して飽きさせることなく一気に聴いてしまった。

最後に、来日経験もあり、日本では人気のあるBJ ジョーンズがゲスト参加していることも付け加えておこう。

2001年作品


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入手先

残念ながら、現在日本で取り扱っている小売店さんはありません。
自主制作なので、アメリカの通販ショップでも取り扱っていないようです。

発売先のStarbound Recordsは、インターネットはおろかファックスも置いていないようです。
興味のある方は、下記住所に手紙または電話でお問い合わせ下さい。

Starbound Records
P.O. Box 16215
Chicago, IL 60616
U.S.A.

773-536-8143


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