シカゴから、熱いライブ盤が届いた。
故バディ・スコットの弟であるハワード・スコットが中心となったザ・ワールド・バンドにチック・ロジャースが加わった、キングストン・マインズでのライブである。
ハワード・スコット&ザ・ワールド・バンドは、キングストン・マインズを中心に活動し、ブルースのみならず、R&Bやソウル・ナンバーも得意とするバンドである。典型的なサウスサイドあがりのバンドとでも言おうか。シャイライツやタイロン・デイヴィスとも活動していた経験を持つ実力派だ。
メンフィス出身のチック・ロジャースは、1989年にシカゴに出てきて以来、10年以上に渡ってシカゴのクラブを中心に人気を集めてきた。身長150センチほどの小さな体から発せられるシャウトは、まさに驚異的。どこにそんなパワーがあるのだろうかと思わされる。
ブルース・アンド・ソウル・レコーズ誌のNo.5での「シカゴ・ブルース・シーンは今...」という企画で、ジェネラル・クルック、ディック・シャーマンという2大プロデューサーが、揃ってチックを「今一番期待するアーティスト」に挙げ、「未だにレコードが出ていないのが不思議」と絶賛していたシンガーだ。
私の知る限り、このアルバムがハワード・スコット&ザ・ワールド・バンドとしては2枚目、チック・ロジャースは初めてのアルバムとなると思う。
まさに現在進行形シカゴ・ブルース・ファン待望のアルバムと言えるだろう。
ステージは、キングストン・マインズの名物MCフランクの紹介でハワード・スコットが登場。ファンキーかつオシャレなコード進行にアレンジされた"Stormy
Monday"で始まる。今まで数多くこの曲を聴いたが、このようなアレンジは初めて聴いた。実にカッコイイ!まさに「今の」シカゴのブルースである。
タイトなザ・ワールド・バンドのサウンドに乗って、"No Good Woman"と"Don't
Throw Your Love On Me So Strong"と言ったブルースが続く。後者はアルバート・キングのスロー・ブルースだ。ハワードのヴォーカルは、ソウルの影響を強く受けており、黒人街の匂いがプンプン漂ってくる。
ブルースが続いた後は、なんとギャンブル / ハフによるフィリー・スウィート・ソウルの"You'll Never
Find Another Love Like Mines"。いやー、いいなあ、こういう展開。その場にいたら鳥肌ものであろう。
そして、11:33にも及ぶ"Sweet Home Chicago"でハワードのステージは締め。彼らはこの大スタンダード曲を、随所にキメを入れながら自分らの曲に仕上げている。
続いてはお待ちかねチック・ロジャースの登場である。
まずは得意のアレサ・フランクリンの曲から。ザ・ワールド・バンドとは長いこと一緒にやっていたのでコンビネーションもバッチリ。チックのシャウトを盛りたてる。本当に素晴らしいシンガーだ。
歌詞を少し変えた"I Sing The Blues For You / The Thrill Is Gone"のブルース・メドレーに続き、ジョニー・テイラーのバラード、"Just
Because"をしっとり聴かせる。この辺はホーンやストリングスを加えたサウンドで聴いてみたいが、自主制作ではここまでが限界。
じっくりと聴かせた後に、またしてもジョニー・テイラーの"Last Two Dollars"をアップ・テンポのアレンジで。曲の良さもあり興奮も最高潮に達する。
そのままメドレーで"To Know You"へ突入。決してガナらないシャウトが気持ちいい。
そして出ました!ラストを飾るはアレサの名バラードの"Natural Woman"。ステージではおそらくアンコールで歌われたと思うが、最後にこんな名曲を持ってくるなんて...。シンセサイザーがチープだが、チックの熱唱はそれを帳消しにする。
心温かくなるエンディングである。
何度も言うが、ソウル色の強いステージは、まさしく今のシカゴのサウンドだ。連夜繰り広げられているショウをそのままパッケージしたのがこのアルバムである。
自主制作のため多少のチープさは免れないが、熱いステージがダイレクトに伝わってくる好盤だ。70分のアルバムだが、決して飽きさせることなく一気に聴いてしまった。
最後に、来日経験もあり、日本では人気のあるBJ ジョーンズがゲスト参加していることも付け加えておこう。
2001年作品
Buy Now ! Buy Now ! Buy Now
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入手先
残念ながら、現在日本で取り扱っている小売店さんはありません。
自主制作なので、アメリカの通販ショップでも取り扱っていないようです。
発売先のStarbound Recordsは、インターネットはおろかファックスも置いていないようです。
興味のある方は、下記住所に手紙または電話でお問い合わせ下さい。
Starbound Records
P.O. Box 16215
Chicago, IL 60616
U.S.A.
773-536-8143
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