2008年7月1日(火曜日) 唄って吹ける(ハーモニカを)歴史教師のロブ・ストーンが、8月に日本へ行きます。是非観に行ってやってください。 8月8日(金) 開演 7:30PM メンバー: 8月10日(日) 開演 夜頃 8月15日(金)・16日(土) 開場19時 2008年7月2日(水曜日) H.O.B.でロブ・ストーンと演奏。有吉須美人の誕生日。おめでとうオレ。 2008年7月3日(日曜日) 今までタヌキだとばっかり思っていたが、アライグマ(Raccoon)だった。タヌキは、北米では生息してないらしい。恥ずかしい・・・。 2008年7月13日(日曜日) それは大昔のアメリカ映画に出演する日本人たちの光景だった。 韓国人の知り合いに薦められた日本料理屋のMは、値段も味も手頃だとの評判だった。ところが、店内に一歩足を踏み入れたオレは、それ以上中へ進むことが憚られた。意味のない寺社仏閣の小道具や浮世絵風のディスプレイに困惑したのではない。迎え入れた女性の風貌に立ちすくんでしまったのだ。 顔の白粉(おしろい)こそないものの、頬にさした紅の鮮やかさは、一筋に細く引いた眉に淫蕩な気配を浮き立たせ、日本髪を模したのか、危うげに盛り上げた頭髪の左右のバランスが崩れているのは、取り組みの終わった力士の髷(まげ)にしか見えない。そして身にまとっているのは、カラフルな長襦袢で、胸元をだらしなく緩めて右前に合わせている。帯にしているのは上品な襷(たすき)のようだが、細いために、寝間に入る格好としか思われない。 江戸時代の遊郭を彷彿させそうになるのだが、大体がオレには思い出すような湯女屋の知識がないため、時代を遡ることも出来ず、吹き出しそうになるのを堪えるために顔面は弛(ゆる)み始め、眼前も同様に歪んでいく。同様の風体の人がもうひとり居た気がするが、もうどうでもよくなっていた。 いずれにしても、彼女がそれを真剣に演じているのは、非日系の店主(マネージャー)が純日本人客の来店時に見せる僅かな戸惑いを隠そうとして、伏し目がちにメニューを渡すと、それからは思い切ったように顔を上げ、堂々と応接する態度で分かる。 インターネットの普及した今の時代にとは思うが、Mの開店が80年代と知って何となく納得した。年配の白人客や韓国系の人々で流行っているのだ。 シカゴ近辺に日系のレストランは多いが、古いアメリカ人の日本人観がこれほど反映された店を他に知らない。定番のメキシカンの寿司シェフの羽織る浮世絵の金縁法被でさえ、彼を和風の顔立ちにしてしまう。両手の指を真っすぐに立てて、正確に八の字を身体の前で構える、空手の達人に違いない。ひょっとすると、忍法もいくつか知っているのだろう。もしオレがここで働けば、髪を上へひっつめ丸眼鏡をかけ、セロテープで目尻を後上方に引っ張るはずだ。 ん!?こりゃ、異文化で商売している我が身の反面教師じゃないか。かつて日本では顔を黒く塗って唄っている人達も居たが、当時は「かっこええなぁ」と思い、見た目も含めてアフリカ系に憧れていた自分を微妙に感じる。そしてMの料理の値段も味も微妙だった。 2008年7月15日(火曜日) 韓国系大手スーパーのHマートにて。 ケース買い(24缶入り)してほとんど毎日一本飲んでいた、¢50/本の台湾製缶コーヒー、「ミスター・ブラウン・ブルマン風味」が製造中止になったらしい。アメリカで飲める冷コーヒーとしては珍しくまろやかな酸味があり、タバコのお供として欠かせなかった。 今日、店頭品を買い占めようとして失敗する。先日数十缶あったのに一本しか残っていない。替わりに並んでいたのが「カプチーノ風味」。試しに買ったら、タバコを吸う気も失せるほど不味い飲み物だった。 2008年7月17日(木曜日) 暦の上ではどうだか知らない。オレの目には、昇り始めたばかりの暗いオレンジ色の大きな月は真円に映った。 出勤途中のハイウエイの先に、細く棚引く雲のかかる満月が切なげに浮かんでいる。夏本番。 2008年7月18日(金曜日) ローザス・ラウンジで週末のSOB。 その貧相なラテン系のオヤジと小柄なブロンド女性は、ステージ横でいちゃいちゃしながら終演まで長居していた。まるで日本のクラブのホステスをアフターに連れているようで、音楽にさして興味があるようには見えなかった。 明日も演るから片付ける必要がなく(といってもグランドピアノ据え置きだから、オレは元々片付ける物はない)、清算も早く終わって、少しトウが立ったが相変わらず可愛いマキシちゃんに乗り込むと、数台先に停まった二人乗りの新車ベンツ、SLKクラスの脇で先の二人が抱き合っているのが目に入った。ラテンオヤジを少々見直しながらも、オレは愛しいマキシちゃんを裏切らないよと発車させる。 高速に入ると、颯爽とルーフをオープンにしたSLKが後方から抜き去っていった。あのオヤジに違いない。この蒸し暑いのに、よっぽど彼女にイイところを見せたかったのか、彼女の要望かは分からない。すると突然、ぼたぼたと雨粒がフロントガラスを叩き始めた。夏のシカゴは、毎日のように強力な夕立(夜中であってもこう呼ぶのか?)に見舞われる。やったぁ。直ぐに高速ワイパーでないと追いつかない程の雨脚に変わる。 前方にハザードを点けたベンツが路肩に寄っていくのが見えた。速度を落として彼らの横を通ると、自慢の電動ルーフが、ゆっくりと閉じていく。そして、あたふたと開閉スイッチを押していたであろう、ドボドボでトホホのオヤジの姿があった。
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