Chicago Blues Festival 2001 Vol.2

by 細沼忠夫 (ex-Harmonica Hinds Band)

(2001年6月12日記)


本文と写真は関係ありませんm(_ _)m


21世紀を迎えて初めて行われた今年のシカゴブルースフェスティバルは、例年通り6月最初の週末の4日間に、ミシガン湖畔のグランドパークで行われました。
初日の木曜日には、今年復活したジョディ・ウイリアムスにチャック・ベリー。金曜日にはマジック・スリムやアイク・ターナーのキング・オブ・リズムなどの大物が出たようですが、僕は見に行けなかったので、今回は僕の行った土曜日について書きたいと思います。

この日の最初の目玉は、フロントポーチステージで行われたパイントップ・パーキンスとアイク・ターナーによるサニーランド・スリムのトリビュートセットです。アイクはつい最近カムバックのCDを出したばかりなので気合は十分なはずです。
彼は1940年代にミシシッピのクラークスデイルで、ソニーボーイのキングビスケットタイムのリハーサルでピアノを弾いていたパイントップを見たがためにピアノを始めたそうで、今回の共演は因縁深いステージになりました。
僕個人としてはアイク・ターナーのピアノというと、ハウリン・ウルフの「ハゥメニーモァイャーズ」で聞ける、あのピカピカとしたブキピアノのイントロがいつも頭によぎってくるので、彼がどんなピアノを弾くのかとても興味がありました。

ステージには白に黒いストライプ入りの御揃いのズートスーツを着たバンドが登場してきました。どうみてもパイントップのバンドではないでしょう。バンド編成はベース、ドラムにギター、それに3人のホーンセクションと2人のサポートキーボードが入っているようです。バンドによるインスト曲に乗って登場してきたアイクターナーは、白に金ラメの入ったスーツでバッチリきめています。そしておもむろにキーボードの前に座ると、お得意のアップテンポのブギウギインストを軽く2曲披露しました。しばらく演奏活動から遠ざかっていたにしては、まずまずの演奏だったので一安心でした。

続いてバンドが「チキンシャック」のテーマを引き始めるとパイントップが登場してきました。さすがのアイクもパイントップは大先輩と見えて、彼の手をとってピアノまで連れて行くといういたわりの心が見えました。ティナ・ターナーの映画の中で見たアイク・ターナーとは別人のようなイメージです(笑)。

一方、パイントップは紺のスーツの上下に帽子といった感じで普段どおりです。曲も「ハゥロングブルース」や「ダウンインミシシッピ」など、いつものレパートリーを弾いていました。曲の終わりに入れるジングルベルなどのフレーズなども健在です。演奏面に関してはパイントップがバッキングに徹し、アイクが派手なアクションでオブリガードを入れるといった感じでした。

そんな感じで数曲やって、パイントップがサニーランドに捧げるスローブルースを弾き始めたときに、アイクはギターに持ち替えました。アイクといえばストラトというイメージがありましたが、今回は緑色のヤマハっぽいギターを弾いていました。さすが昔、オーティス・ラッシュのコブラ録音でギターを弾いていたというだけあって、随所にいいフレーズが聞かれました。音数がすごく少ないので、間のとりかたが上手な人というのが僕の感想です。ただ、よほどアームを使うのが好きなのか、ここぞという時におおげさなビブラートを連発していたのは、ちょっとやりすぎのように思いましたが、お客さんには受けていたので、それはそれでよいのでしょう。
アイクは確か歌も歌うはずだと思ったのですが、このステージではパイントップに任せていたようです。自分の曲は一曲だけ「トァアップ」をやりました。僕はこの曲はフレディ・キングのオリジナルだとずっと思っていたのですが、原曲はアイク・ターナーだったのですね。でもここではフレディのバージョンをインストにした感じでやっていました。

その後はピアノにもどったり、ギターを弾いたりと忙しいアイクでしたが、パイントップはマイペースで「モジョ」や「カレドニア」などをたんたんと弾いていました。80歳を超えているというのに声もよく出るし、指もよく動くし、こんなじいさんになれたらいいなぁと思わせてくれる演奏でした。最後の曲「ヤンダーウォール」でギターを弾いていたアイクは乗っていたらしく、チョーキングの時に弦を切りましたが、その時取り替えたのがメインギター同じ機種で色違いのエンジ色のやつでした。メインギターが緑でサブがエンジなんてなかなかのセンスだぁと僕は一人感心していました(笑)。

次に僕のお目当てだったのは、当夜のトリを務めたオーティス・ラッシュです。彼がシカゴブルースフェスに出るのは確か3年ぶりくらいだと思いますが、前回もいいステージだったので今回もどうなるか楽しみにしていました。
オーティスの演奏する会場は、グランドパーク内にあるペトリロミュージックシェルという大きな野外音楽堂なので、彼を近くで見るためには、事前に音楽堂の中に入るスタンプを左手にもらうことが必要になってきます。1度ハンコさえもらってしまえば出入りは自由なので、午後4時くらいに並んで早めにスタンプをもらってしまうことがベターです。

僕は毎年このスタンプをもらうのを待つ間に、バーベキューターキーレッグを食べるのが毎年恒例になっています。ブルースフェスにはシカゴ名物(?)の食べ物の露店が数多く出ていますが、僕はこのターキーレッグが一番だと思います。次は昔、サタデーナイトライブでジョンベルーシーとダンエイクロイドがコントでやっていたビリーゴートターバンのチーズバーガーです。店員がチーズバーガーを連発しながら売るというあれです。あとはボブチンという人気のシーフードレストランが出すカクテル。マイタイが有名でしたが、今年は出店していませんでした。残念です。

話はそれましたが、8時半から始まったオーティスのバンドはベース、ギター、ドラムにピアノ、そして4本のホーンセクションというものです。バリトンサックスプレイヤーやベースプレイヤーなど、メンバーの何人かの顔は知っていますが名前は思い出せません。バンドが一曲やった後、僕のお気に入りのレコード「シカゴブルーストゥディ」に入っているモジョワーキーング風のインスト曲に乗ってオーティスが登場しました。黒い革のジャケットとジーンズ、黒いカウボーイハット、それから赤いシャツと例の赤い335と、黒と赤のコントラストできめたとあればもう何もいえません。かっこいいの一言に尽きます。(何回も見た衣装だけど)。

アンプは大きなステージなのにメサブギーの小さなやつを使っていました。マサキ夫人がアンプのセッティングを調節して、インストの「ブルーギター」を弾き出しました。オーティスは何回も見ているはずだけど、この曲を聴くのは僕にとって初めてのような気がします。オーティスの調子も良い感じだし、好きな曲ということもあって僕も乗ってきました。続く曲は名前を忘れたけど、僕の好きなコブラ録音の中の1曲だったので、僕は興奮してしまいました。オーティスは歌が実に良い。同期のバディガイに比べても歌は一段上手なような気がします。ギターもあれだけタメが効いて引っ張れる人もそうはいません。バックバンドの音が少々うるさくて、オーティスとうまくかみ合っていたかは疑問だけど、少なくともオーティスは良い感じで弾いてました。

この日は他にも「オールユアラブ」はもちろんのこと、僕にとって初体験となる「ソーメニーローズ」などをやってくれたのでもうご機嫌でした。僕の頭の中はオーティスのギターの音でいっぱいでした。最後にやった「クロスカットソー」のほんと終わりのギターソロで弦を切ったオーティスさん。本人は「弦が切れちゃったのでおしまい」といっていたけど、まさにオーティスもギターも役目を果たして燃え尽きたという感じがして感動しました。マサキ夫人もステージの後ろでかなり盛り上がっていたので、彼はいつも以上に良かったのでしょう。

この日はブルースフェスの後に行われたロバート JR. ロックウッドのギグをホットハウスに見に行きました。これについては次回書きます。


本文と写真は関係ありませんm(_ _)m


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