Carl Weathersby

by 丸山実 (The Sons Of Blues)

(2001年3月3日記)


今日は、毎週火曜日にルースター・ブルースでビリー・ブランチの対バンをはっているカール・ウェザズビーについて、少し書きたいと思います。

みなさんもご存じのように、数年前に17年間(と、ビリーは言っているが、正確な数字は定かでない)リード・ギターを務めたS.O.B.を辞め、文字どうり自分がリードする自分のバンドを始めたカール・ウェザズビー。S.O.B.にいた頃から、セットの半分以上はカールが歌っていたので、独立してしまうのは時間の問題であったのだろう。それでも、辞める直前は「ビリーと仲が悪かった」と、まわりから聞いていたのだが、今は何の問題もなく仲良くしている様に見える。...ま、それは余計な話ですね。

とにかく、最近のこのカール・ウェザズビーのバンド(注1)(メンバーが何度かチェンジしているようです)は、ぼくの一番のお気に入りだ。
サイド・ギターにポール・ヘンドリックス。こいつがまたうまい!うまいだけでなく、R&B系の曲の時のバッキングが非常に美しい。ポールは以前、楽器屋さんをやっていたそうで、今でも40本ほどのギターと、10台以上のアンプを持っているらしい。なんとも羨ましい話だ。...でしょ?ベースに、普段ムスッとして怖そうだが、案外気さくなカルビン "スキップ" ガストン。ドラムに、キラー・カーンのようなヘアスタイルで、なんとも愛嬌にあふれたスタン・サーナ(ラスト・ネームは聞き取りづらくて正確には解らない)(注2)。この3人とも、隣の州のインディアナに住んでいて、ドラムのスタンリーなどは「小さい頃からカールのことを知っている」と言っていた(カールもインディアナ出身)(注3)。又、3人とも、数年前カールとプレイするようになるまで、ブルースバンドの経験はないそうで、ロックやハード・ロック、それにR&Bバンドなどで演奏していたらしい。ドラムのスタンに「僕の知っているブルースバンドのなかで、あなたたちがNo1だ!」と伝えたら、彼は「止してくれ...」と照れていた。

そして、各ステージごとに、お客の後ろの方からギターを弾きながら現れるカール・ウェザズビー。全体にスローなR&B系の曲が多いため、なかには拍子抜けする(ブルースの曲を期待していて...)人もいるかもしれないが、ギターはやはり、思いっきり全開でぼくは大好きだ。べつに全開でなくとも大好きですけど、念のため...。
S.O.B.にいた頃のカールはES-335を使っていたように思うのだけれど、今は、主にサイン入りの青いテレキャス(PGM?)(注4)を使っている様だ。その他ダブル・カッタウェイでシェイプの変わったレスポール(レスポールには見えないのだが、確かにレスポールと書いてある)もよく使っている。アンプは4×10のビクトリアをヘッドとして使い、それをACOUSTICの大きなキャビネット(4×12?)で鳴らしている。その他、ピービー・VALVERB・リバーブユニットや、お客の間を練り歩く為のシュアー・ワイヤレスシステムも使っている。

カールは身体もデカイが音もデカイ。さらに繊細なまでに小さな音も頻繁に用い、お客の神経をくすぐってくれる。「本当にすばらしいバンドを作ったもんだ」と、いつも感心ばかりしている僕です。
もうひとつ、カールのソロの時などにフロントの3人(カール、ポール、スキップ)が、振り付けを合わせるのが可愛らしい(可愛らしいなどと失礼な気がするが、3人とも「太め」な為、「可愛らしい」としか表現のしようがない。ゴメンナサイ)。

カール・ウェザズビーは毎週火・水とルースター・ブルースで、そして週末はいろいろな場所でやっています。ツアーに出ることも結構あるようで、羨ましい限りです...。
さあ、来週もカールを見に行こうかな。(注5)


江戸川スリムのお節介注釈

(注1)カールのバンド

Carl Weathersby & Vital Supportが正式名称。

(注2)スタン・サーナ

Stan "The Man" Serna。来日時のジェシ・ワッツに代わり、最近加入した。

(注3)カールもインディアナ出身

正確には、ミシッシッピー出身だが、インディアナ州イースト・シカゴで育ち、現在もそこに住んでいる。

(注4)青いテレキャス

ご存じムーニーさん制作の"Blues Guitar"。2000年の来日時にプレゼントされたもの。

(注5)来週もカールを見に行こうかな

けっこう悔しかったりする。


丸山実プロフィール

1969年新潟県小千谷市生まれ。
1988年に上京した後、1991年6月にシカゴへ渡る(ちなみに、私が初めてシカゴに行ったのも1991年の6月である)。
シカゴでわびちゃんと出会い、ルリー・ベルのプレイを見たことをきっかけにブルース・ギターを始め、以降Johnny B. Moore 、Tail Dragger、Ken Shiokawa Quartetなどでの演奏活動を経て、現在はBilly Branch & S.O.B. 、Wabi Blues Projectなどで活動中。今後の活躍がさらに期待される。

丸山実 Disc Guide

Johnny B. Moore
911 Blues

(Wolf 120.873 CD)

Johnny B. Moore
Troubled World

(Delmark DE-701)

この他に、 Rob Stone and the C-Notesの"My Side of the Story"にも参加している。


Sweet Music....Carl Weathersby !!!!!!!のページも、合わせてご覧下さい。


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